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February 2, 2012 Vol. 366 No. 5

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子宮筋腫の手術前に行う治療におけるウリプリスタル酢酸塩とプラセボとの比較
Ulipristal Acetate versus Placebo for Fibroid Treatment before Surgery

J. Donnez and Others

背景

症候性子宮筋腫の手術前に行う治療における,経口ウリプリスタル酢酸塩(ulipristal acetate)の有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

症候性子宮筋腫で,子宮出血過多(絵で表す出血量評価表 [PBAC;出血量の客観的評価法で,1 ヵ月のスコアが 0 から>500 の値をとり,数値が大きいほど出血量が多いことを示す] のスコア>100),および貧血(ヘモグロビン値≦10.2 g/dL)を呈する女性を,経口ウリプリスタル酢酸塩 5 mg/日群(96 例),10 mg/日群(98 例),プラセボ群(48 例)に無作為に割り付け,最長 13 週間投与を行った.全例に鉄剤投与を行った.共通主要有効性エンドポイントは,13 週の時点での子宮出血のコントロール(PBAC スコア<75)と筋腫の縮小とし,これ以降患者は手術を受けることができた.

結 果

13 週の時点で子宮出血がコントロールされていた女性は,ウリプリスタル酢酸塩 5 mg 群で 91%,10 mg 群で 92%,プラセボ群で 19%であった(ウリプリスタル酢酸塩の各用量群とプラセボ群との比較において P<0.001).無月経の発生率はそれぞれ 73%,82%,6%であり,ウリプリスタル酢酸塩投与患者の大多数は 10 日以内に無月経をきたした.総筋腫体積の変化の中央値はそれぞれ -21%,-12%,+3%であった(ウリプリスタル酢酸塩 5 mg 群とプラセボ群との比較において P=0.002,ウリプリスタル酢酸塩 10 mg 群とプラセボ群との比較において P=0.006).ウリプリスタル酢酸塩によって,子宮内膜に良性の組織学的変化が引き起こされたが,これらの変化は治療終了後 6 ヵ月までに消失した.重篤な有害事象が,ウリプリスタル酢酸塩 10 mg 群の 1 例(子宮出血)と,プラセボ群の 1 例(子宮頸部からの筋腫脱出)でそれぞれ投与期間中に発現した.ウリプリスタル酢酸塩に関連する有害事象として頭痛と乳房圧痛が高頻度に認められたが,プラセボ群よりも発現頻度が有意に高いわけではなかった.

結 論

13 週間のウリプリスタル酢酸塩投与によって,子宮筋腫に起因する出血過多が有効にコントロールされ,筋腫が縮小した.(PregLem 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00755755)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 409 - 20. )