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February 9, 2012 Vol. 366 No. 6

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閉経後のホルモン受容体陽性進行乳癌に対するエベロリムス
Everolimus in Postmenopausal Hormone-Receptor-Positive Advanced Breast Cancer

J. Baselga and Others

背景

乳癌の内分泌療法に対する抵抗性は,細胞内の哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)シグナル伝達経路の活性化に関連している.初期の研究では,内分泌療法に mTOR 阻害薬であるエベロリムスを併用することで抗腫瘍活性が認められた.

方 法

第 3 相無作為化試験において,ホルモン受容体陽性進行乳癌を有し,補助療法,または進行癌治療(あるいはその両方)を目的とする非ステロイド性アロマターゼ阻害薬による治療中に,再発または進行をきたした患者 724 例を対象に,エベロリムス+エキセメスタンとエキセメスタン+プラセボとの比較(2:1 の割合で無作為割付け)を行った.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.副次的エンドポイントは,生存期間,奏効率,安全性などとした.359 件の無増悪生存イベントが認められた時点で,独立データ・安全性モニタリング委員会が事前に計画していた中間解析を実施した.

結 果

患者背景は両群間でよくバランスがとれていた.年齢中央値は 62 歳であり,56%に他臓器転移がみられ,84%がホルモン感受性乳癌であった.過去の治療法は,レトロゾールまたはアナストロゾール(100%),タモキシフェン(48%),フルベストラント(16%),化学療法(68%)などがあった.高頻度に認められたグレード 3 または 4 の有害事象は,口内炎(エベロリムス+エキセメスタン群で 8% 対 プラセボ+エキセメスタン群で 1%),貧血(6% 対 <1%),呼吸困難(4% 対 1%),高血糖(4% 対 <1%),倦怠感(4% 対 1%),肺炎(3% 対 0%)であった.中間解析時における,実施施設の試験担当医師の評価による無増悪生存期間中央値は,エベロリムス+エキセメスタン群で 6.9 ヵ月,プラセボ+エキセメスタン群で 2.8 ヵ月であった(進行または死亡のハザード比 0.43,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.54,P<0.001).中央評価による無増悪生存期間中央値はそれぞれ 10.6 ヵ月と 4.1 ヵ月であった(ハザード比 0.36,95% CI 0.27~0.47,P<0.001).

結 論

非ステロイド性アロマターゼ阻害薬による治療歴のあるホルモン受容体陽性進行乳癌患者に対して,アロマターゼ阻害薬にエベロリムスを併用すると,無増悪生存期間が改善した.(Novartis 社から研究助成を受けた.BOLERO-2 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00863655)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 520 - 9. )