The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 23, 2012 Vol. 366 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

ベムラフェニブを投与した BRAF V600 変異陽性進行期悪性黒色腫患者の生存
Survival in BRAF V600-Mutant Advanced Melanoma Treated with Vemurafenib

J.A. Sosman and Others

背景

黒色腫の約 50%では,セリン-スレオニン蛋白キナーゼである B-RAF(BRAF)に活性化(V600)変異がみられる.BRAF の経口阻害薬であるベムラフェニブ(vemurafenib)(PLX4032)は,第 1 相試験では BRAF V600 変異陽性転移性悪性黒色腫患者に高頻度で腫瘍縮小をもたらし,第 3 相試験では全生存期間を改善させた.

方 法

治療歴のある BRAF V600 変異陽性転移性悪性黒色腫患者を対象としたベムラフェニブの多施設共同第 2 相試験において,全奏効率(治療効果がみられた患者の割合),奏効期間,全生存期間に関するベムラフェニブの有効性を検討した.主要エンドポイントは,独立審査委員会の確認に基づく全奏効率とし,全生存期間を副次的エンドポイントとした.

結 果

132 例が中央値 12.9 ヵ月(0.6~20.1)の追跡調査を受けた.確認された全奏効率は 53%(95%信頼区間 [CI] 44~62;完全奏効 6%,部分奏効 47%),奏効期間中央値は 6.7 ヵ月(95% CI 5.6~8.6),無増悪生存期間中央値は 6.8 ヵ月(95% CI 5.6~8.1)であった.最初の評価で進行がみられた患者はわずか 14%であった.ベムラフェニブの投与期間が 6 ヵ月を過ぎてから効果がみられた患者もいた.全生存期間中央値は 15.9 ヵ月(95% CI 11.6~18.3)であった.有害事象は,グレード 1 または 2 の関節痛,発疹,光線過敏症,倦怠感,脱毛が高頻度にみられた.患者の 26%は皮膚扁平上皮癌(大部分がケラトアカントーマ型)と診断された.

結 論

ベムラフェニブにより,治療歴のある BRAF V600 変異陽性転移性悪性黒色腫患者の半数以上で臨床効果がもたらされる.長期にわたる追跡を行ったこの試験では,全生存期間中央値は約 16 ヵ月であった.(Hoffmann-La Roche 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00949702)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 366 : 707 - 14. )