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November 1, 2012 Vol. 367 No. 18

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地域および医療圏における医療費支出のばらつきの比較
Comparing Local and Regional Variation in Health Care Spending

Y. Zhang and Others

背景

医療費支出にみられる地理的に大きなばらつきは,非効率性に関する懸念と,地理的地域に基づく支払い改革に対する政策議論の両方を引き起こしている.ばらつきに関するエビデンスは病院の医療圏(HRR)に焦点が当てられているが,そこには多数の地域病院サービスエリア(HSA)が含まれている.HRR 内でかなりのばらつきがあるとすると,HRR に焦点を当てた政策は対象設定が十分ではない可能性がある.

方 法

メディケア受給者の 5%無作為抽出サンプルから得た 2006~09 年における処方薬と医療費請求のデータを用いて,306 の HRR と 3,436 の HSA における医療費支出と医療利用のばらつきを比較した.受給者レベルの人口統計学的特性,保険加入状況,臨床背景について補正した.

結 果

医療(薬剤および薬剤以外)の利用と支出には,地域でかなりのばらつきがあった.さらに,支出の少ない HSA の多くは支出の多い HRR 内に位置しており,また支出の多い HSA の多くは支出の少ない HRR 内に位置していた.薬剤費の支出については,支出の多い最高五分位群の HRR 内における,支出の多い最高五分位群の HSA の割合は HSA の 50.7%のみであった.これとは逆に,支出の多い最高五分位群の HSA で,支出の多い最高五分位群の HRR 内に含まれていたのは 51.5%のみであった.同様のパターンが薬剤以外の支出に認められた.

結 論

質の高い医療へのアクセスを維持しながら過剰利用を減らすうえでの支払い改革の有効性は,対象設定の有効性に左右される.今回の分析から,HRR に基づく政策は医療資源の最適な利用を促進するには対象設定が大まかすぎることが示唆される.(米国医学研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 1724 - 31. )