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August 2, 2012 Vol. 367 No. 5

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転移性乳癌におけるアナストロゾールとフルベストラントの併用
Combination Anastrozole and Fulvestrant in Metastatic Breast Cancer

R.S. Mehta and Others

背景

アロマターゼ阻害薬アナストロゾールはエストロゲン合成を阻害する.フルベストラントはエストロゲン受容体に結合し,その分解を促進する.われわれは,ホルモン受容体(HR)陽性の転移性乳癌患者では,これらの併用がアナストロゾール単独よりも有効である可能性があるという仮説を立てた.

方 法

転移性乳癌の治療歴のない閉経後の女性を,アナストロゾール 1 mg を毎日経口投与し,増悪した場合にはフルベストラント単独へのクロスオーバーを強く推奨する群(第 1 群)と,アナストロゾールとフルベストラントを併用投与する群(第 2 群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.患者を,タモキシフェンによる補助療法治療歴の有無により層別化した.フルベストラントは,1 日目に 500 mg,その後は 250 mg を 14 日目,28 日目,以降 1 ヵ月ごとに筋肉内投与した.主要エンドポイントは無増悪生存期間とし,全生存期間を副次的転帰として事前に規定した.

結 果

無増悪生存期間中央値は第 1 群で 13.5 ヵ月,第 2 群で 15.0 ヵ月であった(併用療法による増悪または死亡のハザード比 0.80,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.94,log-rank 検定で P=0.007).全サブグループにおいて,併用療法はアナストロゾール単独よりも全般的に有効であり,有意な交互作用は認められなかった.第 1 群では患者の 41%が増悪後にフルベストラントへクロスオーバーしたにもかかわらず,全生存期間も併用療法のほうが長かった(中央値,第 1 群 41.3 ヵ月,第 2 群 47.7 ヵ月;死亡のハザード比 0.81;95% CI 0.65~1.00;log-rank 検定で P=0.05).第 2 群では治療に関連する可能性のある死亡が 3 件発生した.グレード 3~5 の毒性作用の発現率に 2 群間で有意差は認められなかった.

結 論

HR 陽性の転移性乳癌の治療において,アナストロゾールとフルベストラントの併用は,フルベストラントを現在の標準を下回る用量で使用したにもかかわらず,アナストロゾール単独,またはアナストロゾールとフルベストラントの逐次投与よりも優れていた.(米国国立がん研究所,AstraZeneca 社から研究助成を受けた.SWOG ClinicalTrials.gov 番号:NCT00075764)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2012; 367 : 435 - 44. )