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March 21, 2013 Vol. 368 No. 12

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原因不明の脳梗塞後の卵円孔開存閉鎖術と薬物療法との比較
Closure of Patent Foramen Ovale versus Medical Therapy after Cryptogenic Stroke

J.D. Carroll and Others

背景

原因不明の脳梗塞を起こした患者の脳梗塞の再発予防に,卵円孔開存に対する閉鎖術が有効であるかどうかは明らかになっていない.18~60 歳の患者を対象に,脳梗塞再発または早期死亡の予防に,閉鎖術が薬物療法単独よりも優れているかどうかを評価する試験を行った.

方 法

前向き多施設共同無作為化イベント主導型試験において,患者を薬物療法単独群と卵円孔開存閉鎖術群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.目標とする 25 件の主要エンドポイントイベントが観察され,独立した委員会に判定された時点で,主要な結果を解析した.

結 果

69 施設で 980 例(平均 45.9 歳)を登録した.薬物療法群では,1 種類以上の抗血小板薬(74.8%)またはワルファリン(25.2%)が投与された.薬物療法群のほうが脱落率が高かったため,治療曝露には群間差が認められた(閉鎖術群 1,375 患者・年 対 薬物療法群 1,184 患者・年,P=0.009).intention-to-treat コホートでは,閉鎖術群の 9 例と薬物療法群の 16 例で脳梗塞が再発した(閉鎖術のハザード比 0.49,95%信頼区間 [CI] 0.22~1.11,P=0.08).脳梗塞再発率の群間差は,事前に規定した per-protocol コホート(閉鎖術群 6 件 対 薬物療法群 14 件,ハザード比 0.37,95% CI 0.14~0.96,P=0.03)と as-treated コホート(5 件 対 16 件,ハザード比 0.27,95% CI 0.10~0.75,P=0.007)では有意であった.重篤な有害事象は,閉鎖術群の 23.0%と薬物療法群の 21.6%に発生した(P=0.65).閉鎖術群では,手技またはデバイスに関連する重篤な有害事象が 499 例中 21 例(4.2%)に発生したが,心房細動またはデバイス血栓の発生率は高くはなかった.

結 論

intention-to-treat での主要解析では,原因不明の脳梗塞を起こした成人に対する卵円孔開存閉鎖術に有意な利益は認められなかった.しかし,事前に規定した per-protocol 解析と as-treated 解析では,閉鎖術が薬物療法単独よりも優れており,関連するリスクの発生率が低かった.(St. Jude Medical 社から研究助成を受けた.RESPECT ClinicalTrials.gov 番号:NCT00465270)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1092 - 100. )