March 28, 2013 Vol. 368 No. 13
収縮期心不全患者の貧血に対するダルベポエチンアルファによる治療
Treatment of Anemia with Darbepoetin Alfa in Systolic Heart Failure
K. Swedberg and Others
収縮期心不全に貧血を合併した患者は,貧血のない患者よりも重症であり,機能が低下し,転帰が不良である.われわれは,収縮期心不全に貧血を合併した患者において,ダルベポエチンアルファが臨床転帰に及ぼす効果を検討した.
無作為化二重盲検試験において,収縮期心不全と軽度~中等度の貧血(ヘモグロビン値 9.0~12.0 g/dL)を有する患者 2,278 例を,ダルベポエチンアルファ投与群(目標ヘモグロビン値 13 g/dL)と,プラセボ投与群に割り付けた.主要転帰は全死因死亡,および心不全悪化による入院の複合とした.
主要転帰は,ダルベポエチンアルファ群では 1,136 例中 576 例(50.7%)に発生し,プラセボ群では 1,142 例中 565 例(49.5%)に発生した(ダルベポエチンアルファ群のハザード比 1.01;95%信頼区間 0.90~1.13;P=0.87).いずれの副次的転帰にも,群間で有意差は認められなかった.ダルベポエチンアルファの中立的な効果は,事前に規定したすべてのサブグループで一貫していた.致死的または非致死的脳卒中は,ダルベポエチンアルファ群では 42 例(3.7%)に,プラセボ群では 31 例(2.7%)に発生した(P=0.23).血栓塞栓性の有害事象は,ダルベポエチンアルファ群では 153 例(13.5%)に,プラセボ群では 114 例(10.0%)に発生した(P=0.01).癌に関連する有害事象の頻度は 2 群で同程度であった.
収縮期心不全と軽度~中等度の貧血を有する患者にダルベポエチンアルファによる治療を行っても,臨床転帰は改善されなかった.この結果は,このような患者に対するダルベポエチンアルファの使用を支持しない.(Amgen 社から研究助成を受けた.RED-HF ClinicalTrials.gov 番号:NCT00358215)