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April 11, 2013 Vol. 368 No. 15

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ST 上昇型心筋梗塞に対する血栓溶解療法と初回経皮的冠動脈インターベンションとの比較
Fibrinolysis or Primary PCI in ST-Segment Elevation Myocardial Infarction

P.W. Armstrong and Others

背景

急性の ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)を発症後,病院到着前に血栓溶解療法を行い,その後冠動脈造影を適時に行った場合の臨床転帰が,早期に初回経皮的冠動脈インターベンション(プライマリ PCI)を行った場合と同等であるかどうかは明らかではない.

方 法

STEMI 発症から 3 時間以内で,1 時間以内にプライマリ PCI を受けることのできない 1,892 例を,プライマリ PCI を施行する群と,PCI の施行が可能な病院に搬送する前に,テネクテプラーゼ(tenecteplase)(75 歳以上の患者では半量に変更),クロピドグレル,エノキサパリンのボーラス投与による血栓溶解療法を行う群に無作為に割り付けた.血栓溶解療法が失敗した場合は緊急冠動脈造影を行ったが,それ以外は割付け後 6~24 時間のあいだに血管造影を行った.主要エンドポイントは,30 日目までの死亡,ショック,うっ血性心不全,再梗塞の複合とした.

結 果

主要エンドポイントは,血栓溶解療法群の 939 例中 116 例(12.4%),プライマリ PCI 群の 943 例中 135 例(14.3%)に発生した(血栓溶解療法の相対リスク 0.86,95%信頼区間 0.68~1.09,P=0.21).緊急血管造影は血栓溶解療法群の 36.3%で必要とされたのに対し,残りの患者では,割付け後,中央値 17 時間の時点で血管造影が行われた.頭蓋内出血は,血栓溶解療法群のほうがプライマリ PCI 群よりも多く発生した(1.0% 対 0.2%,P=0.04;プロトコール変更後 0.5% 対 0.3%,P=0.45).非頭蓋内出血の発生率は両群で同等であった.

結 論

救急隊または救急部による最初の対応後 1 時間以内にプライマリ PCI を受けることができない早期の STEMI 患者に対して,病院到着前に血栓溶解療法を行い,その後冠動脈造影を適時に行った場合,有効な再灌流が得られた.しかし,血栓溶解療法は頭蓋内出血リスクのわずかな上昇と関連していた.(Boehringer Ingelheim 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00623623)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1379 - 87. )