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May 9, 2013 Vol. 368 No. 19

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造血器腫瘍に対する予防的血小板輸血を行わない戦略
A No-Prophylaxis Platelet-Transfusion Strategy for Hematologic Cancers

S.J. Stanworth and Others

背景

造血器腫瘍患者に対して出血の予防を目的として行う血小板輸血の有効性は,依然として不明である.この試験では,予防的血小板輸血を行わない指針が,予防的血小板輸血を行う指針と同程度に有効かつ安全であるかどうかを検討した.

方 法

英国とオーストラリアの 14 施設で,無作為化非盲検非劣性試験を行った.朝の血小板数が 10×109/L 未満であった場合に,患者を予防的血小板輸血を受ける群と受けない群に無作為に割り付けた.適格患者は,化学療法または幹細胞移植を受けており,血小板減少症を発症したか,発症が予測される 16 歳以上の患者とした.主要エンドポイントは,割付け後 30 日目までに発生した世界保健機関(WHO)分類グレード 2~4 の出血とした.

結 果

2006~11 年の期間に,計 600 例(予防的血小板輸血を行わない群 301 例,予防的血小板輸血を行う群 299 例)を無作為化した.WHO 分類グレード 2~4 の出血は,予防的血小板輸血を行わない群の 300 例中 151 例(50%)で発生したのに対し,予防的血小板輸血を行う群では 298 例中 128 例(43%)で発生した(補正した比率の差 8.4 パーセントポイント,90%信頼区間 1.7~15.2,非劣性について P=0.06).予防的血小板輸血を行わない群の患者では,予防的血小板輸血を行う群の患者と比較して出血した日数が多く,出血の初回エピソードが発生するまでの期間が短かった.予防的血小板輸血を行わない群では血小板の使用が顕著に減少した.事前に規定したサブグループ解析の結果,自家幹細胞移植を受けた患者の出血発生率は両群で同程度であった.

結 論

この試験の結果は,血小板輸血による予防を継続して行う必要性を支持するものであり,予防を行わない場合と比較して,出血の減少に有用であることを示している.(英国国民保健サービス血液移植研究開発委員会,オーストラリア赤十字社血液サービスから研究助成を受けた.TOPPS Controlled-Trials.com 番号:ISRCTN08758735)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1771 - 80. )