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May 23, 2013 Vol. 368 No. 21

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嚢胞性線維症の患児における気管支拡張症の危険因子
Risk Factors for Bronchiectasis in Children with Cystic Fibrosis

P.D. Sly and Others

背景

気管支拡張症は嚢胞性線維症の経過の初期に発現し,生後 10 週でも発見される,持続性で進行性の疾患である.われわれは気管支拡張症発症の危険因子を同定するため,オーストラリア嚢胞性線維症呼吸器初期サーベイランスチーム(Australian Respiratory Early Surveillance Team for Cystic Fibrosis:AREST CF)の集中的サーベイランスプログラムで収集されたデータを用いて検討した.

方 法

新生児スクリーニング後に嚢胞性線維症と診断された,連続する 127 例のデータを検討した.生後 3 ヵ月,1 歳,2 歳,3 歳の時点で,病態安定期に胸部 CT と気管支肺胞洗浄(BAL)を行った.時系列データを用いて,生後 3 ヵ月から 3 歳までに発見される気管支拡張症に関連する危険因子を同定した.

結 果

各受診時における気管支拡張症の点有病率は,生後 3 ヵ月時点の 29.3%から,3 歳時点で 61.5%まで上昇した.多変量解析において,気管支拡張症の危険因子は,胎便性イレウスを呈していること(オッズ比 3.17,95%信頼区間 [CI] 1.51~6.66,P=0.002),CT および BAL 実施時の呼吸器症状(オッズ比 2.27,95% CI 1.24~4.14,P=0.008),BAL 液中の遊離好中球エラスターゼ活性(オッズ比 3.02,95% CI 1.70~5.35,P<0.001),呼気 CT におけるエアトラッピング(オッズ比 2.05,95% CI 1.17~3.59,P=0.01)であった.生後 3 ヵ月時点での BAL 液中の遊離好中球エラスターゼ活性は,持続性の気管支拡張症(連続する 2 回以上の CT で確認された場合)と関連しており,そのオッズは生後 12 ヵ月で 7 倍,3 歳で 4 倍高かった.

結 論

嚢胞性線維症の患児では,生後早期の BAL 液中の好中球エラスターゼ活性が気管支拡張症の早期発症と関連していた.(オーストラリア国立保健医療研究評議会,Cystic Fibrosis Foundation Therapeutics 社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1963 - 70. )