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January 3, 2013 Vol. 368 No. 1

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真性多血症における治療強度と心血管イベント
Cardiovascular Events and Intensity of Treatment in Polycythemia Vera

R. Marchioli and Others

背景

真性多血症の患者に現在推奨される治療では,ヘマトクリット値を 45%未満に維持することが求められているが,この治療戦略は無作為化臨床試験では検討されていない.

方 法

瀉血,ハイドロキシウレアのいずれかまたは両方による治療を受けている JAK2 変異陽性真性多血症の成人患者 365 例を,強度の高い治療(目標ヘマトクリット値 45%未満)(低ヘマトクリット群)と,強度の低い治療(目標ヘマトクリット値 45~50%)(高ヘマトクリット群)のいずれかに無作為に割り付けた.主要複合転帰は,心血管系が原因の死亡または主要血栓イベントまでの期間とした.副次的転帰は,心血管イベント,心血管系が原因の入院,癌発生,骨髄線維症への移行,骨髄異形成または白血病化,出血とした.intention-to-treat 解析を行った.

結 果

中央値 31 ヵ月の追跡調査後,主要転帰は低ヘマトクリット群の 182 例中 5 例(2.7%)と,高ヘマトクリット群の 183 例中 18 例(9.8%)で記録された(高ヘマトクリット群のハザード比 3.91,95%信頼区間 [CI] 1.45~10.53,P=0.007).主要転帰と表在性静脈血栓症は,低ヘマトクリット群の 4.4%で発生したのに対し,高ヘマトクリット群では 10.9%で発生した(ハザード比 2.69,95% CI 1.19~6.12,P=0.02).骨髄線維症への移行,骨髄異形成または白血病化,および出血は,低ヘマトクリット群でそれぞれ 6 例,2 例,2 例で発生したのに対し,高ヘマトクリット群ではそれぞれ 2 例,1 例,5 例で発生した.有害事象の発生率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

真性多血症の患者で,目標ヘマトクリット値を 45%未満にした患者では,45~50%にした患者と比較して,心血管系が原因の死亡および主要血栓イベントの発生率が有意に低かった.(イタリア医薬品庁ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01645124,EudraCT 番号:2007006694-91)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 22 - 33. )