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June 27, 2013 Vol. 368 No. 26

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ゲノム刷込み遺伝子 MKRN3 の変異により生じる中枢性思春期早発症
Central Precocious Puberty Caused by Mutations in the Imprinted Gene MKRN3

A.P. Abreu and Others

背景

思春期の発来は,ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)のパルス状分泌の増加として最初に認められる.視床下部–下垂体–性腺軸が早期に活性化されると,中枢性思春期早発症が生じる.思春期発達の時期には遺伝因子が部分的に関与しているが,中枢性思春期早発症との関連が認められているのは,ごく少数の,まれな分子の欠損である.

方 法

中枢性思春期早発症を有する 15 家族 40 人の全エクソーム塩基配列決定を行った.候補の変異体はサンガー法による塩基配列決定で確認した.また,さまざまな日齢のマウスの視床下部におけるメッセンジャー RNA(mRNA)発現量を,定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法により測定した.

結 果

15 家族中 5 家族で,マコリンリングフィンガー蛋白 3 をコードする遺伝子 MKRN3 に,4 つの新規ヘテロ接合性変異を同定した.これらは両性に認められた.これら 4 つの変異のうち,3 つはフレームシフト変異で,切断された蛋白をコードすると予測され,1 つはミスセンス変異で,蛋白の機能を阻害すると予測された.MKRN3 は,父性発現のゲノム刷込み遺伝子で,プラダー–ウィリー症候群において関連する重要な領域(染色体 15q11–q13)に位置している.発症例はすべて変異を父親から受け継いでおり,ゲノム刷込み遺伝子に予想される遺伝様式による完全な分離を示唆する知見である.Mkrn3 の mRNA 発現量は,思春期前のマウスの弓状核において高く,思春期直前に低下し,思春期後も低いままであった.

結 論

MKRN3 の欠損は,ヒトの中枢性思春期早発症を引き起こす.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 2467 - 75. )