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January 24, 2013 Vol. 368 No. 4

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パンデミックインフルエンザウイルス感染またはワクチン接種後の胎児死亡リスク
Risk of Fetal Death after Pandemic Influenza Virus Infection or Vaccination

S.E. Håberg and Others

背景

2009 年のインフルエンザ A(H1N1)パンデミック時には,妊娠女性はインフルエンザの重症疾患に罹患するリスクが高かった.これに対する懸念は,妊娠女性へのワクチン接種後の胎児死亡が報告されたことから安全性に疑問が生じ,複雑になった.

方 法

妊娠女性におけるインフルエンザワクチン接種の安全性を検討するため,ノルウェーの全国登録と診療データを関連付け,パンデミック前,パンデミック中,パンデミック後の妊娠女性におけるインフルエンザの診断,ワクチン接種状況,出生転帰,背景情報を明らかにした.Cox 回帰モデルを用いて,在胎日数を時間指標とし,ワクチン接種とパンデミック曝露を時間依存的な曝露変数とし,胎児死亡のハザード比を推定した.

結 果

2009~10 年のノルウェーにおける適格な妊娠は 117,347 例あった.胎児死亡率は出生 1,000 件あたり 4.9 であった.パンデミック中は,妊娠第 2 期または第 3 期の女性の 54%がワクチンを接種した.妊娠中のワクチン接種により,インフルエンザの診断を受けるリスクは大幅に減少した(補正ハザード比 0.30,95%信頼区間 [CI] 0.25~0.34).インフルエンザの臨床的診断を受けた妊娠女性では,胎児死亡リスクが上昇した(補正ハザード比 1.91,95% CI 1.07~3.41).胎児死亡リスクは妊娠中のワクチン接種により減少したが,有意ではなかった(補正ハザード比 0.88,95% CI 0.66~1.17).

結 論

妊娠中のパンデミックインフルエンザウイルス感染は,胎児死亡リスクの上昇と関連していた.妊娠中のワクチン接種により,インフルエンザの診断を受けるリスクは減少した.ワクチン接種そのものは胎児死亡率の上昇とは関連しておらず,パンデミック中のインフルエンザ関連の胎児死亡リスクを低減させた可能性がある.(ノルウェー国立公衆衛生研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 333 - 40. )