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January 31, 2013 Vol. 368 No. 5

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不活化ポリオウイルスワクチン少量接種後のプライミング
Priming after a Fractional Dose of Inactivated Poliovirus Vaccine

S. Resik and Others

背景

低所得地域において,ポリオウイルス予防接種の基盤の維持にかかる費用を削減するために,不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)接種後の免疫応答のプライミングの程度を評価した.

方 法

キューバ人の生後 4 ヵ月と 8 ヵ月の乳児を対象に,IPV の少量(全量の 1/5)の皮内接種と,全量の筋肉内接種とで,免疫原性と反応性を比較した.生後 4 ヵ月,8 ヵ月,8 ヵ月と 7 日,8 ヵ月と 30 日の時点で乳児から血液を採取し,単回接種後のセロコンバージョン,単回接種後の免疫応答のプライミング,2 回接種後のセロコンバージョンを評価した.検体は中和試験を用いて検査した.

結 果

320 例が無作為化され,310 例(96.9%)が試験の要件を満たした.IPV の初回接種後,ポリオウイルス 1 型,2 型,3 型に対するセロコンバージョン率は,少量接種群ではそれぞれ 16.6%,47.1%,14.7%であったのに対し,全量接種群ではそれぞれ 46.6%,62.8%,32.0%であった(すべての比較について P<0.008).ポリオウイルス 1 型,2 型,3 型に対する免疫応答のプライミングが認められた割合は,少量接種群ではそれぞれ 90.8%,94.0%,89.6%であったのに対し,全量接種群では 97.6%,98.3%,98.1%であった(3 型の比較について P=0.01).IPV の 2 回目接種後の,ポリオウイルス 1 型,2 型,3 型に対する累積セロコンバージョン率は,少量接種群では 93.6%,98.1%,93.0%であったのに対し,全量接種群では 100.0%,100.0%,99.4%であった(1 型,3 型の比較について P<0.006).皮内注射を受けた群では有害事象がもっとも多かったが,そのほとんどは重症度が低く,重大な結果をもたらしたものはなかった.

結 論

この研究で,乳児に少量の IPV を単回接種することにより,接種を受けた乳児の 90%以上でプライミングとセロコンバージョンが誘導される可能性があることが示された.(世界保健機関,全米保健機構から研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号:ACTRN12610001046099)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 416 - 24. )