February 28, 2013 Vol. 368 No. 9
妊娠中のオンダンセトロンと胎児の有害転帰のリスク
Ondansetron in Pregnancy and Risk of Adverse Fetal Outcomes
B. Pasternak, H. Svanström, and A. Hviid
オンダンセトロンは,妊娠中の悪心や嘔吐の治療に用いられる頻度が高いが,胎児に対する安全性は十分に検討されていない.
妊娠中に投与されたオンダンセトロンに関連する,胎児の有害転帰のリスクを検討した.デンマークにおける妊娠 608,385 例の歴史的コホートから,オンダンセトロンに曝露された女性と曝露されていない女性を 1:4 の割合で傾向スコアをマッチさせ,自然流産(曝露女性 1,849 例 対 非曝露女性 7,396 例),死産(1,915 例 対 7,660 例),あらゆる重大な先天異常(1,233 例 対 4,932 例),早期産(1,792 例 対 7,168 例),低体重児・胎内発育遅延(SGA)児の出生(1,784 例 対 7,136 例)について分析した.さらに,推定値は妊娠中の悪心・嘔吐による入院(重症度に代わる指標として)と,他の制吐薬の使用について補正した.
オンダンセトロンの投与は,自然流産リスクの有意な上昇とは関連しておらず,発生率は妊娠 7~12 週の曝露女性では 1.1%,非曝露女性では 3.7%であり(ハザード比 0.49,95%信頼区間 [CI] 0.27~0.91),妊娠 13~22 週ではそれぞれ 1.0%と 2.1%であった(ハザード比 0.60,95% CI 0.29~1.21).また,オンダンセトロンによって死産リスク(曝露女性 0.3%と非曝露女性 0.4%,ハザード比 0.42,95% CI 0.10~1.73),あらゆる重大な先天異常(それぞれ 2.9%と 2.9%,発生のオッズ比 1.12,95% CI 0.69~1.82),早期産(6.2%と 5.2%,発生のオッズ比 0.90,95% CI 0.66~1.25),低体重児の出産(4.1%と 3.7%,発生のオッズ比 0.76,95% CI 0.51~1.13),SGA 児の出産(10.4%と 9.2%,発生のオッズ比 1.13,95% CI 0.89~1.44)が有意に増加することもなかった.
妊娠中に服用されたオンダンセトロンと胎児の有害転帰のリスクとのあいだに有意な関連は認められなかった.(デンマーク医学研究評議会から研究助成を受けた.)