September 19, 2013 Vol. 369 No. 12
腹圧性尿失禁に対する手術と理学療法との比較
Surgery versus Physiotherapy for Stress Urinary Incontinence
J. Labrie and Others
腹圧性尿失禁には,第一選択治療として骨盤底筋訓練を含む理学療法が推奨されている.理学療法が無効な場合には,一般的に中部尿道スリング手術が勧められる.初期療法としてこれら 2 つの選択肢を比較する無作為化試験のデータは不足している.
多施設共同無作為化試験において,腹圧性尿失禁の女性を対象に,理学療法と中部尿道スリング手術とを比較した.群間のクロスオーバーを可能とした.主要転帰は,12 ヵ月の時点で「改善に関する患者の全般的印象尺度」を用いて評価した自覚的改善とした.
女性 230 例を手術群,230 例を理学療法群に無作為に割り付けた.理学療法群の 49.0%と,手術群の 11.2%がもう一方の治療にクロスオーバーした.intention-to-treat 解析において,自覚的改善は手術群の 90.8%と,理学療法群の 64.4%で報告された(絶対差 26.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 18.1~34.5).自覚的治癒率は手術群 85.2%,理学療法群 53.4%であり(絶対差 31.8 パーセントポイント,95% CI 22.6~40.3),他覚的治癒率はそれぞれ 76.5%,58.8%であった(絶対差 17.8 パーセントポイント,95% CI 7.9~27.3).事後の per-protocol 解析により,手術群にクロスオーバーした女性の転帰は,最初に手術群に割り付けられた女性の転帰と同様であり,これら 2 群の転帰はいずれも手術にクロスオーバーしなかった女性よりも良好であることが示された.
腹圧性尿失禁の女性に対しては,初回治療として中部尿道スリング手術を行うことにより,理学療法と比較して,1 年の時点での自覚的改善率,自覚的治癒率,他覚的治癒率が高くなる.(オランダ健康研究開発機構 ZonMw から研究助成を受けた.Dutch Trial Register 番号:NTR1248)