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October 10, 2013 Vol. 369 No. 15

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手術スキルと肥満手術後の合併症発生率
Surgical Skill and Complication Rates after Bariatric Surgery

J.D. Birkmeyer and Others

背景

複雑な手技を多く伴う外科手術後の臨床転帰は,病院間や外科医間で大きく異なっている.術者の熟練度がこのような差異の根本にある重要な因子の一つであると考えられているが,技術的スキルと術後の転帰との関係を示す実証的データは不足している.

方 法

ミシガン州全体で行われた肥満手術共同改善プログラムに参加した肥満手術術者 20 名を対象に調査を行った.各術者は,自分が行った腹腔鏡下胃バイパス術の典型例を撮影したビデオテープ 1 本を提出した.術者の身元を知らない同業の外科医の少なくとも 10 名が,各ビデオテープを技術的スキルのさまざまな項目に関して 1~5 のスケールで採点した(スコアが高いほどスキルが高いことを示す).次に,これらのスキルの採点結果とリスク補正後の合併症発生率との関係を,外部監査のもとで前向きに登録された患者 10,343 例の臨床転帰データを用いて評価した.

結 果

術者 20 名の技術的スキルの総合スコアの平均は 2.6~4.8 であった.手術スキルの最低四分位群は,最高四分位群と比較して,合併症発生率が高く(14.5% 対 5.2%,P<0.001),死亡率も高かった(0.26% 対 0.05%,P=0.01).さらに,手術スキルの最低四分位群は,手術時間が長く(137 分 対 98 分,P<0.001),再手術率(3.4% 対 1.6%,P=0.01)と再入院率(6.3% 対 2.7%,P<0.001)が高かった.

結 論

現役の肥満手術術者の技術的スキルには大きなばらつきがあり,スキルが高いほど,術後合併症数が少ないことや,再手術率,再入院率,および救急来院率が低いことに関連していた.これらの知見は予備的なものではあるが,外科医の熟練度を評価するには,同業の外科医による手術スキルの採点が有効な戦略である可能性があることが示唆された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1434 - 42. )