October 24, 2013 Vol. 369 No. 17
メチルプレドニゾロン注射に起因する真菌感染症の臨床所見
Clinical Findings for Fungal Infections Caused by Methylprednisolone Injections
T.M. Chiller and Others
2012 年 9 月 18 日以降,公衆衛生当局は,メチルプレドニゾロン酢酸エステルの汚染されたロットで硬膜外,傍脊椎,関節内への注射を受けた患者で発生した,真菌性髄膜炎および他の感染症の大規模集団発生について調査している.主な集団発生関連病原体である,Exserohilum rostratum に起因する感染症についてはほとんど明らかにされていない.集団発生関連感染症の初期の臨床経過について報告する.
報告された症例数のとくに多かった 6 州(フロリダ,インディアナ,ミシガン,ニュージャージー,テネシー,バージニア)から,2012 年 11 月 19 日以前に米国疾病対策予防センター(CDC)に報告された集団発生症例の診療録を再検討した.病原体を同定するため,臨床分離株と組織検体においてポリメラーゼ連鎖反応法と免疫組織化学検査を行った.
調査の対象とした,末梢関節感染症のない 328 例のうち,265 例(81%)が中枢神経系(CNS)感染症であり,CNS 以外の感染症のみであったのは 63 例(19%)であった.検体が得られた 268 例中 96 例(36%)で E. rostratum が検出された.CNS 感染症患者では,脳卒中は脳脊髄液異常の程度が高いことと関連していた(P<0.001).CNS 以外の感染症は,集団発生の経過の後期になるほど発生頻度が高く(最終投与から診断までの期間の中央値:硬膜外膿瘍 39 日,脳卒中 21 日;P<0.001),これらの感染症は髄膜炎の有無にかかわらず発生した.
この集団発生の最初の臨床所見から,汚染されたグルココルチコイド製品の硬膜外および傍脊椎への注射に起因する真菌感染症は,可能性のある多様な発症機序や,宿主や曝露に関連するさまざまな危険因子を反映して,幅広い臨床疾患をもたらす可能性があることが示唆された.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)