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November 7, 2013 Vol. 369 No. 19

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HIV-1 感染の治療としてのドルテグラビル+アバカビル/ラミブジン
Dolutegravir plus Abacavir–Lamivudine for the Treatment of HIV-1 Infection

S.L. Walmsley and Others

背景

1 日 1 回,ブーストなしでの投与が可能なインテグラーゼ阻害薬ドルテグラビル(dolutegravir)(S/GSK1349572)は,他の抗レトロウイルス薬と併用して用いるヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染治療薬として,米国で最近承認された.ドルテグラビルをアバカビル/ラミブジンと併用することで,レジメンが簡易化される可能性がある.

方 法

HIV-1 感染に対する治療歴がなく,HIV-1 RNA 量が 1,000 コピー/mL 以上であった成人を対象として,無作為化二重盲検第 3 相試験を行った.患者を,ドルテグラビル 50 mg+アバカビル/ラミブジンを 1 日 1 回投与する群(DTG/ABC/3TC 群)と,エファビレンツ/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(DF)/エムトリシタビンを 1 日 1 回投与する群(EFV/TDF/FTC 群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,48 週の時点で HIV-1 RNA 量が 50 コピー/mL 未満であった患者の割合とした.副次的評価項目は,ウイルス抑制までの期間,CD4+T 細胞数のベースラインからの変化,安全性,ウイルスの耐性などとした.

結 果

833 例が試験薬の投与を 1 回以上受けた.48 週の時点で,HIV-1 RNA 量が 50 コピー/mL 未満であった患者の割合は,DTG/ABC/3TC 群のほうが EFV/TDF/FTC 群よりも有意に高く(88% 対 81%,P=0.003),したがって優越性の基準が満たされた.DTG/ABC/3TC 群では,EFV/TDF/FTC 群と比較してウイルス抑制までの期間の中央値が短く(28 日 対 84 日,P<0.001),CD4+T 細胞数の増加が大きかった(267/mm3 対 208/mm3,P<0.001).有害事象のために治療を中止した患者の割合は,DTG/ABC/3TC 群のほうが EFV/TDF/FTC 群よりも低かった(2% 対 10%).EFV/TDF/FTC 群では発疹と神経精神医学的事象(異常な夢,不安,めまい,傾眠など)が有意に多く認められた一方,DTG/ABC/3TC 群では不眠が高頻度に報告された.DTG/ABC/3TC 群では,抗ウイルス薬耐性が検出された例はなかったが,EFV/TDF/FTC 群でウイルス学的失敗をきたした患者において,テノホビル DF 関連耐性変異 1 例と,エファビレンツ関連耐性変異 4 例が検出された.

結 論

ドルテグラビル+アバカビル/ラミブジンは,エファビレンツ/テノホビル DF/エムトリシタビンを用いるレジメンと比較して,48 週にわたる安全性プロファイルが良好であり,有効性が高かった.(ViiV Healthcare 社から研究助成を受けた.SINGLE ClinicalTrials.gov 番号:NCT01263015)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1807 - 18. )