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November 14, 2013 Vol. 369 No. 20

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糖尿病腎症の治療のためのアンジオテンシン阻害薬の併用
Combined Angiotensin Inhibition for the Treatment of Diabetic Nephropathy

L.F. Fried and Others

背景

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の併用療法によって蛋白尿は減少するが,その安全性や,腎疾患の進行に対する効果は明らかにされていない.

方 法

2 型糖尿病を有し,尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンは mg 単位,クレアチニンは g 単位で測定)が 300 以上で,推定糸球体濾過量(GFR)が 30.0~89.9 mL/分/1.73 m2 体表面積である患者にロサルタン(100 mg/日)を投与し,その後リシノプリル(10 ~40 mg/日)投与群,またはプラセボ投与群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,推定 GFR の変化(初期推定 GFR が 60 mL/分/1.73 m2 以上の場合は 30 mL/分/1.73 m2 以上の低下,初期推定 GFR が 60 mL/分/1.73 m2 未満の場合は 50%以上の低下), 末期腎不全(ESRD),死亡のいずれかの最初の発生とした.副次的腎評価項目は,推定 GFR の低下または ESRD のいずれかの最初の発生とした.安全性転帰は,死亡率,高カリウム血症,急性腎障害などとした.

結 果

安全性に対する懸念のため,試験は早期に中止された.無作為に割り付けた 1,448 例において,追跡期間中央値 2.2 年のあいだに,主要評価項目のイベントは単剤療法群で 152 例,併用療法群で 132 例に発生した(併用療法群のハザード比 0.88,95%信頼区間 [CI] 0.70~1.12,P=0.30).副次的評価項目に関して併用療法が有益であることを示す傾向(ハザード比 0.78,95% CI 0.58~1.05,P=0.10)は,経時的に減少した(非比例性について P=0.02).死亡率(死亡のハザード比 1.04,95% CI 0.73~1.49,P=0.75)や心血管イベントに関して,有益性は認められなかった.併用療法により,高カリウム血症のリスク(100 人年あたり 6.3 件 対 単剤療法群 2.6 件,P<0.001)と急性腎障害のリスク(100 人年あたり 12.2 件 対 6.7 件,P<0.001)が上昇した.

結 論

糖尿病腎症患者において,ACE 阻害薬と ARB の併用療法は,有害事象のリスク上昇に関連した.(米国退役軍人局研究開発部共同研究プログラムから研究助成を受けた.VA NEPHRON-D ClinicalTrials.gov 番号:NCT00555217)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 1892 - 903. )