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December 5, 2013 Vol. 369 No. 23

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APOL1 リスク多様体,人種,および慢性腎臓病の進展
APOL1 Risk Variants, Race, and Progression of Chronic Kidney Disease

A. Parsa and Others

背景

米国の慢性腎臓病(CKD)患者のうち,黒人患者は白人患者と比較して末期腎不全(ESRD)のリスクが高い.

方 法

2 つの研究において,アポリポ蛋白 L1 をコードする遺伝子(APOL1)の多様体が CKD の進展に及ぼす影響を検討した.アフリカ系アメリカ人の腎障害と高血圧に関する研究(AASK)では,高血圧に起因する CKD の黒人患者 693 例を評価した.慢性腎不全コホート(CRIC)研究では,CKD の白人患者と黒人患者 2,955 例(46%が糖尿病)を,高リスク APOL1 多様体の数が 2 コピー(APOL1 高リスク群)か,0 または 1 コピー(APOL1 低リスク群)かに基づいて評価した.AASK 研究における主要転帰は,ESRD 発症と血清クレアチニン値倍増の複合とした.CRIC 研究における主要転帰は,推算糸球体濾過量(eGFR)の傾きと,ESRD 発症または eGFR のベースラインからの 50%の低下の複合とした.

結 果

AASK 研究の主要転帰は,APOL1 高リスク群患者の58.1%,APOL1 低リスク群患者の 36.6%で発生した(高リスク群のハザード比 1.88,P<0.001).APOL1 多様体と,試験による介入やベースラインの蛋白尿とのあいだに相互作用は認められなかった.CRIC 研究では,APOL1 高リスク群の黒人患者は,糖尿病罹患例,非罹患例ともに,白人患者よりも eGFR の低下が速く,腎臓の複合転帰のリスクが高かった(全比較について P<0.001).

結 論

APOL1 における腎リスク多様体は,黒人患者において,糖尿病の有無にかかわらず,ESRD の発症率と CKD の進展率が高いことに関連していた.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 2183 - 96. )