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July 18, 2013 Vol. 369 No. 3

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肺癌死亡リスクに基づく低線量 CT スクリーニング対象患者の選択
Targeting of Low-Dose CT Screening According to the Risk of Lung-Cancer Death

S.A. Kovalchik and Others

背景

全米肺スクリーニング試験(NLST)では,低線量コンピュータ断層撮影(CT)を用いたスクリーニングにより,30 箱・年以上の喫煙歴があり,禁煙後 15 年未満の 55~74 歳の被験者の肺癌死亡率が 20%低下した.こうしたスクリーニングの有益性と潜在的有害性が肺癌のリスクによって異なるのかどうかは不明である.

方 法

低線量 CT スクリーニングを受けた NLST 参加者 26,604 例について,5 年肺癌死亡リスクを五分位に分け(0.15~0.55%が最低リスク群 [第 1 五分位群],2.00%超が最高リスク群 [第 5 五分位群]),有効性,偽陽性者数,肺癌死亡の予防数を,胸部 X 線を受けた 26,554 例と比較評価した.

結 果

CT スクリーニング群の 10,000 人・年あたりの肺癌死亡予防数は,X 線群との比較で,リスクの五分位群に従って増加した(第 1 五分位群 0.2 例,第 2 五分位群 3.5 例,第 3 五分位群 5.1 例,第 4 五分位群 11.0 例,第 5 五分位群 12.0 例;傾向性の P=0.01).リスクの五分位群全体で,スクリーニングによる肺癌死亡予防 1 例あたりの偽陽性者数には,有意な減少傾向がみられた(第 1 五分位群 1,648 例,第 2 五分位群 181 例,第 3 五分位群 147 例,第 4 五分位群 64 例,第 5 五分位群 65 例).肺癌死亡リスクが高い参加者(第 3~第 5 五分位群)の 60%が,スクリーニングによる肺癌死亡予防の 88%,および偽陽性者の 64%を占めていた.最低リスクの被験者(第 1 五分位群)の 20%が,肺癌死亡予防の 1%を占めるのみであった.

結 論

低線量 CT を用いたスクリーニングによって予防された肺癌死亡は,高リスクの参加者でもっとも多く,低リスクの参加者ではごくわずかであった.この結果から経験的に,こうしたスクリーニングで対象とする喫煙者は,リスクに基づいて選択すべきことが支持される.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 245 - 54. )