September 5, 2013 Vol. 369 No. 10
初回スクリーニング CT で発見された肺結節における癌の確率
Probability of Cancer in Pulmonary Nodules Detected on First Screening CT
A. McWilliams and Others
低線量 CT による肺癌スクリーニングを実施するうえでの重要な問題は,陽性結果の定義と,スキャンで発見された肺結節の管理である.われわれは,初回スクリーニングの低線量 CT で発見された肺結節が悪性である確率,あるいは追跡調査で悪性であることが判明する確率を予測する因子を明らかにする目的で,人口ベースの前向き研究を行った.
低線量 CT スクリーニングを受けた参加者の 2 つのコホートのデータを分析した.開発データセットには,全カナダ肺癌早期発見研究(PanCan)の参加者が含まれた.妥当性検証データセットには,米国国立がん研究所が助成し,ブリティッシュコロンビアがん研究機関(BCCA)で行われた化学予防試験の参加者が含まれた.ベースラインの低線量 CT で発見された結節は,大きさを問わずすべてを最終転帰まで追跡した.多変量ロジスティック回帰として少変数簡略化モデルと,より多変数のフルモデルを構築し,肺癌の可能性を推定した.
PanCan データセットでは,1,871 例に 7,008 個の結節が認められ,そのうち 102 個が悪性であった.BCCA データセットでは,1,090 例に 5,021 個の結節が認められ,そのうち 42 個が悪性であった.結節が認められた人のうち,癌であった人の割合はそれぞれ 5.5%と 3.7%であった.このモデルにおける癌の予測因子は,年齢が高いこと,女性,肺癌の家族歴,肺気腫,結節が大きいこと,上葉に結節を認めること,一部充実性結節,結節数が少ないこと,棘形成などであった.最終的な少変数簡略化モデルと多変数のフルモデルは,識別に優れ,予測確率と実際の確率はよく一致し,妥当性検証データセットの 10 mm 以下の結節についても,0.90 を超える受信者動作特性曲線下面積が得られた.
患者背景および結節の特性に基づく予測ツールは,ベースラインスクリーニング時に低線量 CT で発見された肺結節が悪性である確率の正確な推定に用いることができる可能性がある.(Terry Fox Research Institute ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00751660)