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September 5, 2013 Vol. 369 No. 10

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腎機能に基づくリスク評価におけるシスタチン C とクレアチニンとの比較
Cystatin C versus Creatinine in Determining Risk Based on Kidney Function

M.G. Shlipak and Others

背景

推定糸球体濾過量(eGFR)の算出において,血清クレアチニン測定値にシスタチン C 測定値を追加すると精度が向上するが,多様な集団における慢性腎臓病(CKD)の発見,病期分類,リスク分類にもたらされる効果は,まだ明らかにされていない.

方 法

血清クレアチニンとシスタチン C の標準化された測定値を入手しえた一般集団研究 11 件(参加者 90,750 例)と,CKD のコホートを対象にした研究 5 件(参加者 2,960 例)のメタ解析を行った.クレアチニン値またはシスタチン C 値のいずれかのみ,あるいはシスタチン C 値とクレアチニン値を組み合わせて算出された eGFR の,死亡率(15 コホート 13,202 例),心血管系の原因による死亡率(12 コホート 3,471 例),末期腎不全(ESRD)発生率(7 コホート 1,654 例)との関連を比較し,シスタチン C 値を用いた再分類の改善の程度を評価した.

結 果

一般集団コホートでは,eGFR が 60 mL/分/1.73 m2 体表面積未満の人の割合は,シスタチン C 値に基づく eGFR のほうがクレアチニン値に基づく eGFR よりも高かった(13.7% 対 9.7%).すべての eGFR カテゴリーにおいて,クレアチニン値と比較して,シスタチン C 値による,より高値の eGFR への再分類は,この研究の 3 つの評価項目すべてのリスク低下に関連し,より低値の eGFR への再分類はリスクの上昇に関連した.シスタチン C 値による,クレアチニン値と比較した正味の再分類改善度は,死亡について 0.23(95%信頼区間 [CI] 0.18~0.28),ESRD について 0.10(95% CI 0.00~0.21)であった.結果は,5 つの CKD コホートにおいても,クレアチニン値とシスタチン C 値の両方を用いて eGFR を算出した場合についても,おおむね同様であった.

結 論

シスタチン C 値を単独またはクレアチニン値と組み合わせて用いると,多様な集団における eGFR と死亡および ESRD のリスクとの関連が強まる.(米国腎臓財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 932 - 43. )