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March 13, 2014 Vol. 370 No. 11

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カナダのオンタリオ州における手術安全チェックリストの導入
Introduction of Surgical Safety Checklists in Ontario, Canada

D.R. Urbach and Others

背景

手術安全チェックリストを使用して手術転帰が顕著に改善した観察研究からのエビデンスにより,世界中でチェックリストの導入が急速に進んでいる.しかし,手術安全チェックリストの強制的導入の効果は不明である.カナダのオンタリオ州では,全病院にチェックリストの導入を勧奨する政策をとり,典型的な診療環境におけるチェックリストの有効性を評価するための自然な経験が得られた.

方 法

オンタリオ州のすべての急性期病院を対象に,手術安全チェックリストを導入した時期を明らかにするための調査を行った.医療管理データを用いて,チェックリスト導入前後の,さまざまな外科手技を受けた患者の手術死亡率,手術合併症の発生率,入院期間,退院後 30 日以内の再入院率・救急部受診率を比較した.

結 果

101 施設で,手術は手術安全チェックリスト導入前 3 ヵ月間に 109,341 件,導入後 3 ヵ月間に 106,370 件行われた.入院中または術後 30 日以内の死亡の補正リスクは,チェックリスト導入前は 0.71%(95%信頼区間 [CI] 0.66~0.76),導入後は 0.65%(95% CI 0.60~0.70)であった(オッズ比 0.91,95% CI 0.80~1.03,P=0.13).手術合併症の補正リスクは,導入前は 3.86%(95% CI 3.76~3.96),導入後は 3.82%(95% CI 3.71~3.92)であった(オッズ比 0.97,95% CI 0.90~1.03,P=0.29).

結 論

カナダのオンタリオ州における手術安全チェックリストの導入は,手術死亡および手術合併症の有意な減少とは関連していなかった.(カナダ保健研究機構から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1029 - 38. )