March 20, 2014 Vol. 370 No. 12
併存疾患を有する慢性リンパ性白血病患者に対するオビヌツズマブとクロラムブシルの併用
Obinutuzumab plus Chlorambucil in Patients with CLL and Coexisting Conditions
V. Goede and Others
未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)で身体的に健康な患者では,抗 CD20 モノクローナル抗体であるリツキシマブを化学療法薬と併用することで全生存期間が延長することが示されているが,併存疾患を有する患者ではそのような利益は示されていない.われわれは,併存疾患を有する未治療の CLL 患者において,糖鎖改変型タイプ 2 抗体オビヌツズマブ(obinutuzumab)(GA101 としても知られる)をクロラムブシル(chlorambucil)と併用する治療の利益を,リツキシマブとクロラムブシルを併用する治療と比較評価した.
未治療の CLL で,累積疾患評価尺度(CIRS)スコア(0~56 で,スコアが高いほど健康状態が不良であることを示す)が 6 より高いか,推定クレアチニンクリアランスが 30~69 mL/分である患者 781 例を,クロラムブシル投与,オビヌツズマブ+クロラムブシル投与,リツキシマブ+クロラムブシル投与のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,主治医の評価による無増悪生存とした.
ベースラインの患者の年齢中央値は 73 歳,クレアチニンクリアランスは 62 mL/分,CIRS スコアは 8 であった.オビヌツズマブ+クロラムブシル投与,リツキシマブ+クロラムブシル投与は,いずれもクロラムブシル単剤投与と比較して奏効率が上昇し,無増悪生存期間が延長した(無増悪生存期間中央値 オビヌツズマブ+クロラムブシル群 26.7 ヵ月 対 クロラムブシル単剤群 11.1 ヵ月,増悪または死亡のハザード比 0.18,95%信頼区間 [CI] 0.13~0.24,P<0.001;リツキシマブ+クロラムブシル群 16.3 ヵ月 対 クロラムブシル単剤群 11.1 ヵ月,ハザード比 0.44,95% CI 0.34~0.57,P<0.001).オビヌツズマブ+クロラムブシル投与では,クロラムブシル単剤投与と比較して全生存期間の延長(死亡のハザード比 0.41,95% CI 0.23~0.74,P=0.002)も認められた.オビヌツズマブ+クロラムブシル投与では,リツキシマブ+クロラムブシル投与と比較して無増悪生存期間の延長(ハザード比 0.39,95% CI 0.31~0.49,P<0.001)と,完全寛解率の上昇(20.7% 対 7.0%),分子遺伝学的寛解率の上昇が認められた.注入に伴う反応と好中球減少は,オビヌツズマブ+クロラムブシル群でリツキシマブ+クロラムブシル群よりも高頻度に認められたが,感染症リスクの上昇は認められなかった.
併存疾患を有する CLL 患者に対して,抗 CD20 抗体を化学療法薬と併用することで転帰が改善した.この患者集団では,クロラムブシルと併用する場合,オビヌツズマブのほうがリツキシマブよりも優れていた.(F. Hoffmann–La Roche 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01010061)