March 20, 2014 Vol. 370 No. 12
移植レシピエントにおける E 型慢性肝炎に対するリバビリン
Ribavirin for Chronic Hepatitis E Virus Infection in Transplant Recipients
N. Kamar and Others
E 型肝炎ウイルス(HEV)感染に対して確立した治療法はない.この後ろ向き多施設共同症例集積研究の目的は,HEV ウイルス血症が持続している固形臓器移植レシピエントに対する単剤療法としてのリバビリンの有効性を評価することである.
固形臓器移植を受けた 59 例の記録を検討した(腎移植レシピエント 37 例,肝移植レシピエント 10 例,心臓移植レシピエント 5 例,腎臓・膵臓移植レシピエント 5 例,肺移植レシピエント 2 例).リバビリン療法は,HEV 感染の診断後中央値 9 ヵ月(1~82 ヵ月)に,投与量中央値 600 mg/日(29~1,200 mg/日)で開始された.この投与量は 8.1 mg/kg 体重/日(0.6~16.3 mg/kg 体重/日)に相当した.リバビリン投与期間は中央値 3 ヵ月(1~18 ヵ月)であり,患者の 66%では投与期間が 3 ヵ月以下であった.
全例がリバビリン療法開始時に HEV ウイルス血症を起こしていた(遺伝型判定を行った 54 例全例が遺伝型 3 型の HEV であった).治療終了時には,患者の 95%で HEV クリアランスが認められた.投与中止後,10 例で HEV 複製の再発が認められた.リバビリン療法中止後 6 ヵ月以上血清 HEV RNA が検出されないことと定義したウイルス排除(sustained virologic response:SVR)は,59 例中 46 例(78%)で認められた.再発し,より長期間再治療を行った 4 例においても SVR は認められた.リバビリン療法開始時のリンパ球数が多いことは,SVR が得られる確率がより高いことと関連していた.主に認められた副作用は貧血であり,患者の 29%がリバビリンの減量を要し,54%はエリスロポエチン投与,12%は輸血を必要とした.
この後ろ向き多施設共同研究により,E 型慢性肝炎の治療には単剤療法としてのリバビリンが有効である可能性が示された.また,多くの患者では投与期間は 3 ヵ月が適切であるように思われた.