自己拡張型人工弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術
Transcatheter Aortic-Valve Replacement with a Self-Expanding Prosthesis
D.H. Adams and Others
重症大動脈弁狭窄症で術中死のリスクが高い患者において,自己拡張型経カテーテル大動脈生体弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を,外科的大動脈弁置換術と比較した.
試験に参加した各施設において,心臓チームにより手術リスクが高いと判定された重症大動脈弁狭窄症患者を登録した.リスク評価では,米国胸部外科学会死亡リスク予測因子(STS PROM)の推定と,その他の主要な危険因子の検討が行われた.適格患者を,自己拡張型経カテーテル弁を用いて TAVR を行う群(TAVR 群)と,外科的大動脈弁置換術を行う群(手術群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は 1 年の時点での全死因死亡率とし,非劣性検定と優越性検定の両方を用いて評価した.
米国の 45 施設で 795 例が無作為化された.as-treated 解析では,1 年の時点の全死因死亡率は TAVR 群のほうが手術群よりも有意に低く(14.2% 対 19.1%),リスク低下の絶対値は 4.9 パーセントポイントであった(95%信頼区間上限 -0.4,非劣性について P<0.001,優越性について P=0.04).intention-to-treat 解析でも結果は同様であった.階層的検定法において,TAVR は,弁狭窄症の心エコー所見,機能状態,QOL について非劣性であった.探索的解析により,重大な心血管・脳血管有害事象の発生率が低下し,脳卒中リスクは増加しないことが示唆された.
手術リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者において,自己拡張型経カテーテル大動脈生体弁を用いた TAVR は,外科的大動脈弁置換術と比較して,1 年生存率が有意に高いことと関連していた.(Medtronic 社から研究助成を受けた.U.S. CoreValve High Risk 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01240902)