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May 8, 2014 Vol. 370 No. 19

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高脂血症に対するエボロクマブの 52 週間プラセボ対照試験
A 52-Week Placebo-Controlled Trial of Evolocumab in Hyperlipidemia

D.J. Blom and Others

背景

前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9(PCSK9)を阻害するモノクローナル抗体であるエボロクマブ(evolocumab)は,第 2 相試験において低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を有意に低下させた.われわれは,エボロクマブによる 52 週間の治療の安全性と有効性を検討する目的で第 3 相試験を行った.

方 法

高脂血症患者を,全米コレステロール教育プログラム(NCEP)成人治療第 3 委員会(ATP III)のリスク分類に従って層別化した.この分類に基づき,4~12 週の導入期間に,基礎的な脂質低下療法として,食事療法,食事療法+アトルバスタチン 10 mg/日,食事療法+アトルバスタチン 80 mg/日,食事療法+アトルバスタチン 80 mg/日+エゼチミブ 10 mg/日のいずれかを開始した.その後,LDL コレステロール値が 75 mg/dL(1.9 mmol/L)以上の患者を,4 週ごとにエボロクマブ(420 mg)を投与する群とプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,52 週の時点で超遠心法により測定した LDL コレステロール値のベースラインからの変化率とした.

結 果

主要解析の対象となった 901 例において,プラセボ群の変化を考慮に入れた,エボロクマブ群の LDL コレステロール値のベースラインからの低下率の最小二乗平均値(±SE)は 57.0±2.1%であった(P<0.001).基礎的療法別にみた平均低下率は,食事療法のみの患者で 55.7±4.2%,アトルバスタチン 10 mg の患者で 61.6±2.6%,アトルバスタチン 80 mg の患者で 56.8±5.3%,アトルバスタチン 80 mg とエゼチミブ 10 mg の併用患者で 48.5±5.2%であった(すべての比較について P<0.001).エボロクマブの投与により,アポリポ蛋白 B,非高比重リポ蛋白コレステロール,リポ蛋白(a),トリグリセライドの値も有意に低下した.高頻度に認められた有害事象は鼻咽頭炎,上気道感染,インフルエンザ,背部痛であった.

結 論

食事療法のみ,低用量のアトルバスタチン,エゼチミブ併用/非併用の高用量のアトルバスタチンのいずれかにエボロクマブを追加することにより,52 週の時点で,多様な心血管リスクを有する患者の LDL コレステロール値が有意に低下した.(Amgen 社から研究助成を受けた.DESCARTES 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01516879)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1809 - 19. )