肝硬変を伴う C 型肝炎に対するリバビリン併用下での ABT-450/r・オムビタスビルとダサブビル
ABT-450/r–Ombitasvir and Dasabuvir with Ribavirin for Hepatitis C with Cirrhosis
F. Poordad and Others
C 型肝炎ウイルス(HCV)感染に対するインターフェロンを含む治療レジメンは,肝硬変を伴う患者においては毒性作用の増大と関連している.われわれは,治療歴の有無を問わず,HCV 遺伝型 1 型に感染した代償性肝硬変の成人患者を対象に,インターフェロンを用いないレジメンとしてプロテアーゼ阻害薬 ABT-450+リトナビル(ABT-450/r),NS5A 阻害薬オムビタスビル(ombitasvir)(ABT-267),非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害薬ダサブビル(dasabuvir)(ABT-333),リバビリンの併用を検討する非盲検第 3 相試験を行った.
Child–Pugh 分類 A の肝硬変を有する患者 380 例を,ABT-450/r・オムビタスビル(1 日 1 回の用量として ABT-450 150 mg,リトナビル 100 mg,オムビタスビル 25 mg),ダサブビル(250 mg,1 日 2 回),体重に応じた量のリバビリンを 12 週間投与する群と,24 週間投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は治療終了後 12 週の時点でのウイルス排除(SVR)とした.各群の SVR 率を,テラプレビルをベースとしたレジメンの推定 SVR 率(47%,95%信頼区間 [CI] 41~54)と比較した.非劣性マージンを 10.5 パーセントポイントとして,非劣性の閾値は 43%と設定した.優越性の閾値は 54%であった.
12 週群では,208 例中 191 例に治療後 12 週の時点で SVR が認められ,SVR 率は 91.8%(97.5% CI 87.6~96.1)であった.24 週群では,172 例中 165 例に治療後 12 週の時点で SVR が認められ,SVR 率は 95.9%(97.5% CI 92.6~99.3)であった.これらの SVR 率は,歴史的対照群よりも優れていた.頻度の高かった有害事象の上位 3 つは,倦怠感(12 週群 32.7%,24 週群 46.5%),頭痛(それぞれ 27.9%,30.8%),悪心(それぞれ 17.8%,20.3%)であった.ヘモグロビン値が 10 g/dL 未満であった患者の割合はそれぞれ 7.2%,11.0%であった.全体で患者の 2.1%が有害事象により投与を中止した.
HCV 遺伝型 1 型感染肝硬変患者だけに限定して,インターフェロンを用いない経口レジメンを検討した第 3 相試験において,3 つの新規抗ウイルス薬とリバビリンを用いるマルチターゲット療法によって高い SVR 率が得られた.有害事象による薬剤中止の頻度は低かった.(AbbVie 社から研究助成を受けた.TURQUOISE-II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01704755)