特発性肺線維症患者におけるピルフェニドンの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of Pirfenidone in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis
T.E. King, Jr., and Others
特発性肺線維症患者を対象とした経口抗線維化薬ピルフェニドンに関する 3 つの第 3 相試験のうち,2 つにおいて,努力肺活量(FVC)や肺活量の低下で評価した疾患の進行が抑制された.残りの 1 試験では,このエンドポイントには到達しなかった.今回の試験の目的は,特発性肺線維症患者において,ピルフェニドンの疾患進行に対する有益な効果を確認することであった.
第 3 相試験において,特発性肺線維症患者 555 例を,52 週間のピルフェニドン(2,403 mg/日)経口投与またはプラセボ投与に無作為に割り付けた.主要評価項目は,52 週の時点での FVC の変化または死亡とした.副次的評価項目は,6 分間歩行距離,無増悪生存期間,呼吸困難,全死因死亡または特発性肺線維症による死亡とした.
ピルフェニドン群では,プラセボ群と比較して,FVC の予測値に対する割合が 10 パーセントポイント以上絶対的に低下した患者,あるいは死亡した患者の割合が,47.9%相対的に減少した.また,FVC が低下しなかった患者の割合は,132.5%相対的に増加した(P<0.001).ピルフェニドンによって,6 分間歩行距離の減少が抑制され(P=0.04),無増悪生存期間が改善した(P<0.001).呼吸困難スコア(P=0.16)や,全死因死亡率(P=0.10)および特発性肺線維症による死亡率(P=0.23)には,群間で有意差は認められなかった.しかし,事前に規定した,先行する 2 つの第 3 相試験の結果を組み込んだプール解析では,全死因死亡(P=0.01)と特発性肺線維症による死亡(P=0.006)について,ピルフェニドンのほうが良好であることを示す有意差が群間に認められた.ピルフェニドン群では消化器系有害事象と皮膚関連有害事象がプラセボ群よりも高頻度に発生したが,投与中止にいたることはまれであった.
特発性肺線維症患者において,ピルフェニドンにより,プラセボと比較して,肺機能,運動耐容能,無増悪生存期間として表される疾患の進行が抑制された.治療に関連する副作用プロファイルは忍容可能であり,死亡例は少なかった.(InterMune 社から研究助成を受けた.ASCEND 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01366209)