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May 29, 2014 Vol. 370 No. 22

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アレルゲン誘発性喘息反応における抗 TSLP 抗体の有効性
Effects of an Anti-TSLP Antibody on Allergen-Induced Asthmatic Responses

G.M. Gauvreau and Others

背景

胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は,アレルギー性炎症の発症に重要である可能性のある上皮細胞由来のサイトカインである.AMG 157 は,ヒト TSLP に結合し,受容体との相互作用を妨げる抗ヒト TSLP モノクローナル免疫グロブリン G2λ である.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,軽症のアレルギー性喘息患者 31 例を,AMG 157(700 mg)を月 1 回,計 3 回静注する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.1 秒量(FEV1)の最大低下率の抑制に対する AMG 157 の効果を評価するため,アレルゲン投与を 42 日目と 84 日目に行った.さらに,呼気一酸化窒素濃度,血中および喀痰中の好酸球数,気道過敏性を測定した.主要評価項目は,アレルゲン投与から 3~7 時間後に測定した遅発型喘息反応とした.

結 果

AMG 157 によって,アレルゲン誘発性の即時型および遅発型の喘息反応のほとんどの測定値が減少した.42 日目の遅発型喘息反応の FEV1 最大低下率は,プラセボ群よりも AMG 157 群のほうが 34.0%小さく(P=0.09),84 日目では 45.9%小さかった(P=0.02).さらに,AMG 157 を投与された患者では,アレルゲン投与の前後で血中および喀痰中の好酸球数と,呼気一酸化窒素濃度が有意に低減した.有害事象は AMG 157 群では 15 件認められたのに対し,プラセボ群では 12 件認められ,いずれも重篤ではなかった.

結 論

AMG 157 を投与することで,アレルゲン投与前後のアレルゲン誘発性気管支収縮と気道炎症の指標が減少した.これらの所見は,アレルギー性喘息患者におけるアレルゲン誘発性の気道反応と持続する気道炎症に,TSLP が重要な役割を果たしていることと一致する.抗 TSLP 療法に臨床的価値があるかどうかは,今回のデータから判断することはできない.(Amgen 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01405963)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 2102 - 10. )