January 16, 2014 Vol. 370 No. 3
治療歴の有無を問わない慢性 C 型肝炎ウイルス感染に対するダクラタスビルとソホスブビルの併用
Daclatasvir plus Sofosbuvir for Previously Treated or Untreated Chronic HCV Infection
M.S. Sulkowski and Others
慢性 C 型肝炎ウイルス(HCV)感染患者には経口薬のみの併用療法が望ましい.われわれは,HCV 遺伝型 1 型,2 型,3 型のいずれかに感染した患者において,ダクラタスビル(daclatasvir)(HCV NS5A 複製複合体阻害薬)とソホスブビル(sofosbuvir)(ヌクレオチドアナログ HCV NS5B ポリメラーゼ阻害薬)の併用療法を評価した.
非盲検試験において,最初に,治療歴のない HCV 遺伝型 1 型感染患者 44 例と HCV 遺伝型 2 型または 3 型感染患者 44 例を,ダクラタスビル 60 mg とソホスブビル 400 mg をそれぞれ 1 日 1 回,24 週間経口投与するレジメンを,リバビリン併用下で行う群と,非併用下で行う群に無作為に割り付けた.研究を拡大し,遺伝型 1 型感染患者をさらに 123 例組み入れ,ダクラタスビル+ソホスブビルを 12 週間投与するレジメン(治療歴のない 82 例)または 24 週間投与するレジメン(以前にテラプレビルまたはボセプレビル[boceprevir]+ペグインターフェロン α/リバビリンによりウイルス学的失敗をきたした 41 例)を,リバビリン併用下で行う群と,非併用下で行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,治療終了後 12 週の時点でのウイルス排除(sustained virologic response:SVR)(HCV RNA 量<25 IU/mL)とした.
全体で 211 例に治療を行った.治療終了後 12 週の時点で,SVR は,遺伝型 1 型感染患者のうち治療歴のない 126 例の 98%と,HCV プロテアーゼ阻害薬では SVR が得られなかった 41 例の98%で認められた.遺伝型 2 型感染患者 26 例では 92%,遺伝型 3 型感染患者 18 例では 89%に認められた.12 週の時点での SVR 率は,HCV サブタイプ 1a の患者と 1b の患者(それぞれ 98%,100%),IL28B 遺伝型が CC の患者と CC 以外の患者(それぞれ 93%,98%)で高く,また,リバビリン投与患者と非投与患者(それぞれ 94%,98%)でも高かった.頻度の高かった有害事象は,疲労,頭痛,悪心であった.
ダクラタスビル+ソホスブビル 1 日 1 回経口投与は,HCV 遺伝型 1 型,2 型,3 型感染患者において,それまでにテラプレビルまたはボセプレビルによる治療が奏効しなかった患者も含めて,高い SVR 率に関連した.(Bristol-Myers Squibb 社,Pharmasset 社 [Gilead 社] から研究助成を受けた.A1444040 ClinicalTrials.gov 番号:NCT01359644)