The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 26, 2014 Vol. 370 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

クリプトコックス髄膜炎診断後の抗レトロウイルス療法の開始時期
Timing of Antiretroviral Therapy after Diagnosis of Cryptococcal Meningitis

D.R. Boulware and Others

背景

アフリカでは,クリプトコックス髄膜炎は後天性免疫不全症候群(AIDS)関連死亡の原因の 20~25%を占める.生存には抗レトロウイルス療法(ART)が不可欠であるが,クリプトコックス髄膜炎の診断後,いつ ART を開始すべきかという疑問に対する答えはまだ出ていない.

方 法

ウガンダと南アフリカで,クリプトコックス髄膜炎を有し,ART 歴のないヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染成人 177 例の 26 週生存率を評価した.患者を,早期に ART を開始する群(診断後 1~2 週)と,待期的に ART を開始する群(診断後 5 週)に無作為に割り付けた.患者にはアムホテリシン B(0.7~1.0 mg/kg 体重/日)とフルコナゾール(800 mg/日)を 14 日間投与した後,フルコナゾールによる地固め療法を行った.

結 果

早期 ART 開始群の 26 週死亡率は,待期的 ART 開始群と比較して有意に高かった(45% [88 例中 40 例] 対 30% [89 例中 27 例],死亡のハザード比 1.73,95%信頼区間 [CI] 1.06~2.82,P=0.03).早期 ART 開始に関連する超過死亡は診断後 2~5 週に認められたが(群間の比較で P=0.007),死亡率はその後 2 群で同程度であった.無作為化時に脳脊髄液中にほとんど白血球がみられなかった(5/mm3 未満)患者では,早期 ART によって,待期的 ART と比較して死亡率がとくに上昇した(ハザード比 3.87,95% CI 1.41~10.58,P=0.008).早期 ART 群と待期的 ART 群とのあいだで,クリプトコックス免疫再構築症候群が確認された割合に有意差は認められなかった(それぞれ 20%と 13%,P=0.32).他のすべての臨床的,免疫学的,ウイルス学的,微生物学的転帰と有害事象は群間で類似していた.

結 論

クリプトコックス髄膜炎の診断後,ART の開始を 5 週待期することは,1~2 週で開始した場合と比較して,とくに脳脊髄液中の白血球数が少ない患者において,生存率の有意な改善と関連した.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.COAT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01075152)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 2487 - 98. )