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January 2, 2014 Vol. 370 No. 1

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左心補助人工心臓血栓症の予期せぬ急増
Unexpected Abrupt Increase in Left Ventricular Assist Device Thrombosis

R.C. Starling and Others

背景

左心補助人工心臓 HeartMate II を植え込まれた患者において,承認前の臨床試験結果や初期の経験に比べて,デバイス血栓症の頻度が明らかに高いことが認められた.われわれは多施設共同研究において,ポンプ血栓症と乳酸脱水素酵素(LDH)高値の発生率,血栓症を予測する(また溶血と関連する)LDH 値,さまざまな管理戦略の転帰を検討した.

方 法

3 施設で 837 例のデータを得た.2004 年から 2013 年半ばにかけて 895 個のデバイスが植え込まれた.患者の平均年齢(±SD)は 55±14 歳であった.主要評価項目はポンプ血栓症の確定例とした.副次的評価項目は血栓症の確定例と疑い例,経時的 LDH 値,ポンプ血栓症後の転帰とした.

結 果

66 例で 72 のポンプ血栓症が確認され,さらに 36 のデバイス内の血栓症が疑われた.植込み後 3 ヵ月の時点におけるポンプ血栓症確定例の発生率は,2011 年 3 月頃の 2.2%(95%信頼区間 [CI] 1.5~3.4)から,2013 年 1 月 1 日には 8.4%(95% CI 5.0~13.9)に上昇した.植込みから血栓症発生までの期間の中央値は,2011 年 3 月 1 日以前は 18.6 ヵ月(95% CI 0.5~52.7)であったが,2011 年 3 月以降は 2.7 ヵ月(95% CI 0.0~18.6)であった.植込み後 3 ヵ月以内の LDH 高値の発生率は,血栓症の発生率と類似していた.血栓症と診断される前の数週間に LDH が平均で 540 IU/L から 1,490 IU/L へと,2 倍以上上昇することが血栓症の予兆であった.血栓症は,11 例が心臓移植(1 例は移植の 31 日後に死亡),21 例がポンプの置換により管理され,死亡率は血栓症のない患者と同程度であった.移植もポンプ置換も受けなかった 40 例の 40 の血栓症では,ポンプ血栓症後 6 ヵ月における保険統計上の死亡率は 48.2%(95% CI 31.6~65.2)であった.

結 論

HeartMate II の使用に関連するポンプ血栓症の発生率がわれわれの施設では増加しており,相当数の障害および死亡と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 33 - 40. )