January 30, 2014 Vol. 370 No. 5
全身性強皮症のプロテオームワイド解析とバイオマーカーとしての CXCL4
Proteome-wide Analysis and CXCL4 as a Biomarker in Systemic Sclerosis
L. van Bon and Others
形質細胞様樹状細胞は,これまでに示唆されている 1 型インターフェロンの産生を超えたメカニズムを介して全身性強皮症の発症機序に関与することが示唆されている.
健常者,および明らかな臨床表現型の全身性強皮症患者から形質細胞様樹状細胞を単離した.続いてプロテオームワイド解析を行い,全身性強皮症患者の 5 つの大規模コホートで結果の妥当性を検証した.次に,得られた結果を全身性エリテマトーデス,強直性脊椎炎,肝線維症の患者の結果と比較した.CXCL4 蛋白の血漿中濃度と全身性強皮症の特徴の関連付けを行い,in vitro と in vivo における CXCL4 の直接的な影響を検討した.
プロテオームワイド解析と妥当性の検証から,CXCL4 が全身性強皮症患者の形質細胞様樹状細胞から分泌される主な蛋白であることが,血中と皮膚の両方で示された.全身性強皮症患者のCXCL4 の平均(±SD)濃度は 25,624±2,652 pg/mL であり,対照(92.5±77.9 pg/mL),および全身性エリテマトーデス患者(1,346±1,011 pg/mL),強直性脊椎炎患者(1,368±1,162 pg/mL),肝線維症患者(1,668±1,263 pg/mL)と比較して有意に高かった.CXCL4 の濃度は皮膚の硬化と肺の線維化,および肺動脈性肺高血圧症と相関していた.全身性強皮症のリスクと進行を予測したケモカインは CXCL4 のみであった.in vitro では,CXCL4 は転写因子 FLI1 の発現を抑制し,内皮細胞活性化マーカーを誘導し,Toll 様受容体の応答を促進した.in vivo では,CXCL4 は全身性強皮症と同様に,炎症性細胞の浸潤や皮膚のトランスクリプトームの変化を誘導した.
全身性強皮症患者では CXCL4 の濃度が増加しており,CXCL4 の濃度は肺線維症や肺動脈性肺高血圧症などの合併症の存在と進行に相関していた.(オランダ関節炎協会ほかから研究助成を受けた.)