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October 2, 2014 Vol. 371 No. 14

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吸入グルココルチコイド離脱と COPD の増悪
Withdrawal of Inhaled Glucocorticoids and Exacerbations of COPD

H. Magnussen and Others

背景

重症慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪を繰り返す患者には,長時間作用型気管支拡張薬と吸入グルココルチコイドの併用療法が推奨されている.しかし,2 種類の長時間作用型気管支拡張薬に吸入グルココルチコイドを追加することによる利益は十分に検討されていない.

方 法

12 ヵ月間の二重盲検並行群間比較試験において,COPD 増悪の既往のある患者 2,485 例に,6 週間の導入期間に,チオトロピウム(18 μg を 1 日 1 回),サルメテロール(50 μg を 1 日 2 回),吸入グルココルチコイドであるフルチカゾンプロピオン酸エステル(500 μg を 1 日 2 回)を用いた 3 剤併用療法を行った.その後,3 剤併用療法を継続する群と,12 週間かけて 3 段階でフルチカゾンを離脱する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,中等度または重度の COPD の初回増悪までの期間とした.肺機能検査所見,健康状態,呼吸困難についてもモニタリングを行った.

結 果

グルココルチコイド継続使用群と比較して,離脱群は,中等度または重度の COPD の初回増悪に関して,95%信頼区間(CI)の上限を 1.20 とする事前に規定した非劣性の基準を満たした(ハザード比 1.06,95% CI 0.94~1.19).離脱が完了した 18 週の時点におけるトラフ 1 秒量のベースラインからの補正平均低下量は,グルココルチコイド離脱群では継続群よりも 38 mL 大きく(P<0.001),52 週の時点においても同程度の差(43 mL)が認められた(P=0.001).離脱群では,呼吸困難に変化は認められなかったが,健康状態にわずかな変化が認められた.

結 論

チオトロピウム+サルメテロールを投与されている重症 COPD 患者では,吸入グルココルチコイドを中止した例と継続した例とで,中等度または重度の増悪リスクは同程度であった.しかし,離脱の最終段階では,継続例と比較して肺機能の大きな低下が認められた.(Boehringer Ingelheim Pharma 社から研究助成を受けた.WISDOM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00975195)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1285 - 94. )