The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 16, 2014 Vol. 371 No. 16

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

早期敗血症性ショック患者に対する目標指向型蘇生
Goal-Directed Resuscitation for Patients with Early Septic Shock

The ARISE Investigators and the ANZICS Clinical Trials Group

背景

敗血症救命キャンペーン(Surviving Sepsis Campaign)のガイドラインでは,早期目標指向型治療(EGDT)が敗血症性ショックで救急受診する患者の死亡率を低下させる重要な戦略として推奨されている.しかし,その有効性は明らかにされていない.

方 法

51 施設(大半はオーストラリアまたはニュージーランド)で実施したこの試験では,早期敗血症性ショックで救急受診した患者を,EGDT を行う群と通常ケアを行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,無作為化後 90 日の時点での全死因死亡率とした.

結 果

登録した 1,600 例のうち,796 例を EGDT 群,804 例を通常ケア群に割り付けた.主要評価項目のデータは,99%以上の患者から入手することができた.EGDT 群の患者は,通常ケア群の患者と比較して,無作為化後 6 時間における静脈内輸液量の平均(±SD)が大きく(1,964±1,415 mL 対 1,713±1,401 mL),昇圧薬投与(66.6% 対 57.8%),赤血球輸血(13.6% 対 7.0%),ドブタミン投与(15.4% 対 2.6%)を受ける割合が高かった(すべての比較について P<0.001).無作為化後 90 日の時点で,EGDT 群では 147 例,通常ケア群では 150 例が死亡しており,死亡率はそれぞれ 18.6%と 18.8%であった(EGDT 群の通常ケア群との絶対リスク差 -0.3 パーセントポイント,95%信頼区間 -4.1~3.6,P=0.90).生存期間,院内死亡率,臓器補助を行った時間,入院期間に有意差は認められなかった.

結 論

早期敗血症性ショックで救急受診した重症患者において,EGDT を行っても,90 日の時点の全死因死亡率は低下しなかった.(オーストラリア国立保健医療研究委員会,アルフレッド財団から研究助成を受けた.ARISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00975793)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1496 - 506. )