The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 30, 2014 Vol. 371 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

急性呼吸促迫症候群に対するシンバスタチン
Simvastatin in the Acute Respiratory Distress Syndrome

D.F. McAuley and Others

背景

動物実験,in vitro 試験,およびヒトにおける第 2 相試験では,スタチンが急性呼吸促迫症候群(ARDS)の治療に有益である可能性が示唆されている.この試験では,シンバスタチン投与により,ARDS 患者の臨床転帰が改善するという仮説を検証した.

方 法

多施設共同二重盲検臨床試験において,ARDS 発症後 48 時間以内の患者を,シンバスタチン 80 mg 1 日 1 回経腸投与またはプラセボ投与に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.投与は最長 28 日間行った.主要評価項目は,28 日目までの期間に人工呼吸器を使用しなかった日数とした.副次的評価項目は,28 日目までの期間に呼吸器以外の臓器不全がなかった日数,28 日の時点での死亡率,安全性などとした.

結 果

540 例を登録し,259 例をシンバスタチン群,281 例をプラセボ群に割り付けた.両群の人口統計学的特性とベースラインの生理学的特性はよく一致していた.群間で,28 日の時点における人工呼吸器を使用しなかった日数の平均(±SD)(シンバスタチン群 12.6±9.9 日,プラセボ群 11.5±10.4 日;P=0.21),呼吸器以外の臓器不全がなかった日数の平均(それぞれ 19.4±11.1 日,17.8±11.7 日;P=0.11),および死亡率(それぞれ 22.0%,26.8%;P=0.23)に有意差は認められなかった.試験薬に関連する重篤な有害事象の発現率にも群間で有意差は認められなかった.

結 論

ARDS 患者において,シンバスタチン療法は安全であり,発現した有害作用は最小限であったが,臨床転帰は改善されなかった.(英国国立健康研究所有効性・作用機序評価プログラムほかから研究助成を受けた.HARP-2 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN88244364)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1695 - 703. )