November 27, 2014 Vol. 371 No. 22
シエラレオネにおけるエボラ患者の臨床症状と転帰
Clinical Illness and Outcomes in Patients with Ebola in Sierra Leone
J.S. Schieffelin and Others
エボラウイルス病(EVD)患者について,入手できる臨床データや検査データは限られている.シエラレオネのケネマ政府病院では,ウイルス性出血熱研究のためのインフラがすでに整っており,同国における 2014 年 5 月の EVD 集団発生開始以降,患者を受け入れ,治療を行っている.
2014 年 5 月 25 日~6 月 18 日に EVD と診断された患者の,入手可能な疫学的記録,臨床記録,検査記録を再検討した.患者サブグループにおいて,定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて,エボラウイルス(EBOV,ザイール種)量を評価した.
EVD と診断された 106 例中,87 例の転帰が判明しており,44 例からは詳細な臨床情報を入手することができた.潜伏期間は 6~12 日と推定され,致死率は 74%であった.受診時に高頻度に認められた所見は,発熱(患者の 89%),頭痛(80%),脱力(66%),めまい(60%),下痢(51%),腹痛(40%),嘔吐(34%)などであった.致死的転帰に関連した受診時の臨床および検査値における因子は,発熱,脱力,めまい,下痢,血中尿素窒素上昇,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇,クレアチニン上昇であった.探索的解析によって,21 歳未満の患者の致死率は,45 歳を超える患者よりも低く(57% 対 94%,P=0.03),受診時に EBOV が 100,000 コピー/mL 未満であった患者の致死率は,10,000,000 コピー/mL 以上であった患者よりも低い(33% 対 94%,P=0.003)ことが示された.出血は 1 例のみに認められた.
シエラレオネの EVD 患者における潜伏期間と致死率は,別の地域で起こった 2014 年の集団発生や,過去の集団発生で観察されたものと同程度である.出血はまれであったが,下痢およびその他の消化器症状が高頻度に認められた.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)