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December 4, 2014 Vol. 371 No. 23

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ALK 陽性肺癌に対する第一選択としてのクリゾチニブと化学療法との比較
First-Line Crizotinib versus Chemotherapy in ALK-Positive Lung Cancer

B.J. Solomon and Others

背景

未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬クリゾチニブの,進行 ALK 陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する第一選択薬としての有効性について,標準化学療法との比較はまだ行われていない.

方 法

進行 ALK 陽性非扁平上皮 NSCLC 患者で,進行癌に対する全身療法歴のない 343 例を対象に,クリゾチニブを化学療法と比較する非盲検第 3 相試験を実施した.患者を,クリゾチニブ 250 mg を 1 日 2 回経口投与する群と,静注化学療法(ペメトレキセド 500 mg/m2 体表面積+シスプラチン 75 mg/m2 またはカルボプラチン目標曲線下面積 5~6 mg/mL/分)を 3 週ごとに最大 6 サイクル行う群に無作為に割り付けた.化学療法群の患者は,増悪後にクリゾチニブ治療へのクロスオーバーを可能とした.主要評価項目は無増悪生存期間とし,X 線像の独立評価に基づき評価された.

結 果

無増悪生存期間は,クリゾチニブ群のほうが化学療法群よりも有意に長かった(中央値 10.9 ヵ月 対 7.0 ヵ月,クリゾチニブ群の増悪または死亡のハザード比 0.45,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.60,P<0.001).客観的奏効率は,それぞれ 74%と 45%であった(P<0.001).全生存期間中央値はいずれの群も未到達であった(クリゾチニブ群の死亡のハザード比 0.82,95% CI 0.54~1.26,P=0.36).1 年生存率は,クリゾチニブ群 84%,化学療法群 79%であった.頻度の高かった有害事象は,クリゾチニブ群では視覚障害,下痢,悪心,浮腫であり,化学療法群では悪心,疲労,嘔吐,食欲不振であった.クリゾチニブは,化学療法と比較して,肺癌の症状の軽減が大きいことと,QOL の改善が大きいことに関連した.

結 論

治療歴のない進行 ALK 陽性 NSCLC 患者において,クリゾチニブは,標準的な第一選択化学療法であるペメトレキセド+白金製剤療法に対して優越性を示した.(Pfizer 社から研究助成を受けた.PROFILE 1014 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01154140)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2167 - 77. )