December 11, 2014 Vol. 371 No. 24
米国の病院におけるケアの質と公平性
Quality and Equity of Care in U.S. Hospitals
A.N. Trivedi and Others
米国のほぼすべての病院は,急性心筋梗塞,心不全,肺炎で入院した患者について,ケアの質の指標の成績を公表している.達成率は人種・民族別には報告されていないため,医療の質の経時的・総合的な向上に伴い,ケアの公平性も向上しているのかどうかは明らかにされていない.
3 疾患のケアに関する質の指標(急性心筋梗塞 6 項目,心不全 4 項目,肺炎 7 項目)について,達成率を評価した.達成率は患者および病院レベルの共変量で補正し,2005~10 年のあいだに米国の急性期病院で治療を受けた非ヒスパニック系の白人患者,非ヒスパニック系の黒人患者,ヒスパニック系の患者で比較した.
白人,黒人,ヒスパニック系の成人患者において,質の指標 17 項目における補正達成率は,2005~10 年のあいだに 3.4~57.6 パーセントポイント向上した(すべての比較について P<0.001).2005 年の補正達成率は,白人患者と比較して,黒人患者では 3 項目で 5 パーセントポイント以上低く(差の範囲 12.3~14.2),ヒスパニック系の患者では 6 項目が 5 パーセントポイント以上低かった(差の範囲 5.6~14.5).これらの 9 項目にみられた差はすべて 2005~10 年のあいだに有意に減少し,白人患者と黒人患者における差の補正後の変化は -8.5~-11.8 パーセントポイント,白人患者とヒスパニック系患者における差の補正後の変化は -6.2~-15.1 パーセントポイントであった.人種・民族による差が減少したのは,同じ病院で治療を受けた白人患者と少数民族患者に対してより公平なケアが行われたこと,また患者が少数民族に偏っている病院で成績がより大きく向上したことによるものである.
米国において,急性心筋梗塞,心不全,肺炎で入院した白人,黒人,ヒスパニック系の成人で,ケアの質の指標における成績が向上すると同時に,病院内および病院間の達成率における人種・民族間の公平性が高まった.(メディケア・メディケイドサービスセンター,米国退役軍人局医療サービス研究開発キャリア開発プログラムから研究助成を受けた.)