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December 18, 2014 Vol. 371 No. 25

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肝移植後の C 型肝炎ウイルスに対するインターフェロンを用いない抗ウイルスレジメン
An Interferon-free Antiviral Regimen for HCV after Liver Transplantation

P.Y. Kwo and Others

背景

C 型肝炎ウイルス(HCV)感染は世界的に肝移植の主要な適応であり,免疫抑制下にある肝移植レシピエントにおいては,インターフェロンを含むレジメンは,治療を制限する毒性作用のため奏効率が低いことに関連している.われわれは,HCV 遺伝型 1 型による C 型肝炎を再発した肝移植レシピエントにおいて,NS5A 阻害薬オムビタスビル(ombitasvir)とリトナビルブーストプロテアーゼ阻害薬 ABT-450(ABT-450/r)の配合錠,非ヌクレオシド系 NS5B ポリメラーゼ阻害薬ダサブビル(dasabuvir),リバビリンから成る,インターフェロンを用いないレジメンの評価を行った.

方 法

線維化がないまたは軽度である肝移植レシピエント 34 例を登録し,オムビタスビル・ABT-450/r(1 日 1 回量としてオムビタスビル 25 mg,ABT-450 150 mg,リトナビル 100 mg),ダサブビル(250 mg,1 日 2 回),リバビリンを 24 週間投与した.初期のリバビリン投与量の選択と,その後の貧血に対する用量調節は,研究者の判断で行った.主要有効性評価項目は治療終了後 12 週の時点でのウイルス排除(SVR)とした.

結 果

試験参加者 34 例中,33 例に治療後 12 週目および 24 週目の時点で SVR が認められ,SVR 率は 97%(95%信頼区間 85~100)であった.頻度の高かった有害事象は,疲労,頭痛,咳嗽であった.5 例(15%)はエリスロポエチンを必要としたが,輸血を必要とした患者はいなかった.1 例が 18 週目を過ぎた時点で有害事象により試験薬を中止したが,SVR を達成していた.カルシニューリン阻害薬の血中濃度をモニタリングし,治療域を維持するように用量を調節した.試験期間中に移植片拒絶反応のエピソードは認められなかった.

結 論

HCV 遺伝型 1 型による C 型肝炎を再発した肝移植レシピエントは以前より治療に難渋してきたが,この集団において,オムビタスビル・ABT-450/r とダサブビルをリバビリンと併用する複数標的レジメンによる治療は,重篤な有害事象の発現率が低いことと,SVR 率が高いことに関連した.(AbbVie 社から研究助成を受けた.CORAL-I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01782495)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2375 - 82. )