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July 3, 2014 Vol. 371 No. 1

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APOC3 の機能喪失変異と虚血性血管疾患のリスク
Loss-of-Function Mutations in APOC3 and Risk of Ischemic Vascular Disease

A.B. Jørgensen and Others

背景

非空腹時血漿トリグリセライド値が高いことは,虚血性心血管疾患のリスクが高いことに関連する.一般集団において,アポリポ蛋白 C3 をコードする遺伝子(APOC3)の変異により非空腹時トリグリセライドが生涯低値であることが,虚血性心血管疾患のリスク低下に関連するかどうかは,明らかにされていない.

方 法

2 つの一般集団研究の参加者 75,725 例のデータを用いて,最初に,非空腹時トリグリセライド低値が,虚血性血管疾患および虚血性心疾患のリスク低下に関連するかどうかを検討した.次に,非空腹時トリグリセライド値の低下に関連する APOC3 の機能喪失変異が,虚血性血管疾患と虚血性心疾患のリスク低下にも関連するかどうかを検討した.追跡調査期間中に,10,797 例が虚血性血管疾患を発症し,そのうち 7,557 例は虚血性心疾患であった.

結 果

非空腹時トリグリセライド値が 1.00 mmol/L(90 mg/dL)未満であった参加者では,4.00 mmol/L(350 mg/dL)以上であった参加者と比較して,心血管疾患の発生率が有意に低かった(虚血性血管疾患のハザード比 0.43,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.54;虚血性心疾患のハザード比 0.40,95% CI 0.31~0.52).APOC3 の機能喪失変異のヘテロ接合体を有することは,APOC3 変異を有しない場合と比較して,非空腹時トリグリセライド値の平均 44%の低下に関連した(P<0.001).APOC3 変異のヘテロ接合体保有者では,虚血性血管疾患と虚血性心疾患の累積発生率が変異非保有者よりも低く(それぞれ P=0.009,P=0.05),リスクの低下はそれぞれ 41%(ハザード比 0.59,95% CI 0.41~0.86,P=0.007),36%(ハザード比 0.64,95% CI 0.41~0.99,P=0.04)であった.

結 論

APOC3 の機能喪失変異に,トリグリセライド低値,および虚血性心血管疾患リスク低下との関連が認められた.(欧州連合ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 32 - 41. )