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July 24, 2014 Vol. 371 No. 4

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米国の登録における移植用造血幹細胞の HLA 適合の確率
HLA Match Likelihoods for Hematopoietic Stem-Cell Grafts in the U.S. Registry

L. Gragert and Others

背景

造血幹細胞移植(HSCT)は,いくつかの造血器腫瘍および血液疾患の救命治療となる可能性がある.適切な HLA 適合血縁ドナーがいない患者は,全米骨髄バンク(NMDP)が運営する Be the Match Registry をはじめとする,成人ボランティアの非血縁ドナー登録および臍帯血バンクで,ドナー候補が見つかる可能性がある.この研究の目的は,米国の登録において,適切なドナーが見つかる確率を評価することである.

方 法

NMDP のドナーおよび臍帯血登録のヒト HLA データを用いて,米国の 21 の人種・民族グループについて人口ベースの遺伝モデルを作成し,各グループの患者に適切なドナー(成人ドナーまたは臍帯血)が同定される確率を予測した.モデルには,HLA 適合度,成人ドナーの利用可能性(すなわち,移植できること),および臍帯血の細胞数が組み込まれた.

結 果

われわれのモデルから,HSCT 希望者の大多数に,適合(HLA 適合またはわずかな不適合)成人ドナーがいることが示唆された.しかし,多くの患者には,最適な成人ドナー,すなわち HLA-AHLA-BHLA-CHLA-DRB1 が高解像度で適合するドナーがいなかった.最適なドナーが見つかる確率は人種・民族グループ間で異なり,もっとも高かったのはヨーロッパ系白人で 75%,もっとも低かったのは南・中央アメリカ系黒人で 16%であった.他のグループにおける確率はその中間であった.最適な臍帯血,すなわち HLA-AHLA-B 抗原適合,かつ HLA-DRB1 高解像度適合の臍帯血がある患者はわずかしかいなかった.しかし,HLA の 1 座または 2 座に不適合があった臍帯血は,人種・民族背景にかかわらず,20 歳未満の患者ではほぼ全例で利用可能であり,20 歳以上の患者では 80%超で利用可能であった.

結 論

HSCT の利益が得られる可能性のある患者のほとんどに,ドナーがいると考えられる.ドナーの募集と臍帯血バンクへの公共投資により,HSCT の利用機会が拡大している.(米国海軍研究局,米国海軍省,米国保健資源事業局,米国保健福祉省から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 339 - 48. )