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August 7, 2014 Vol. 371 No. 6

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鼻腔擦過標本を用いたクロイツフェルト–ヤコブ病の検査
A Test for Creutzfeldt–Jakob Disease Using Nasal Brushings

C.D. Orrú and Others

背景

孤発性クロイツフェルト–ヤコブ病の確定診断を生存している患者で行うのは,依然として困難である.リアルタイム攪拌変換(RT-QuIC)法を用いて,脳脊髄液中に存在するクロイツフェルト–ヤコブ病の特異的マーカーであるプリオン蛋白(PrPCJD)を検出する検査の診断感度は 80~90%である.われわれは,生存している患者の嗅上皮擦過標本を用いた RT-QuIC 解析の,孤発性クロイツフェルト–ヤコブ病の診断精度を評価した.

方 法

孤発性クロイツフェルト–ヤコブ病を有する患者と有しない患者から,嗅上皮擦過標本と脳脊髄液検体を採取し,RT-QuIC を用いて検査した.RT-QuIC は,リコンビナント PrP に PrPCJD をシードとして重合させ,アミロイド線維を形成させる,マルチウェルプレートを用いた超高感度の蛍光測定法である.

結 果

鼻腔擦過標本をシードとした RT-QuIC 法は,クロイツフェルト–ヤコブ病患者 31 例中 30 例で陽性であったが(孤発性クロイツフェルト–ヤコブ病の確定例 15 例中 15 例,孤発性クロイツフェルト–ヤコブ病のほぼ確実例 14 例中 13 例,遺伝性クロイツフェルト–ヤコブ病の 2 例中 2 例),クロイツフェルト–ヤコブ病を有しない患者では 43 例中 43 例が陰性であったことから,クロイツフェルト–ヤコブ病の発見における感度は 97%(95%信頼区間 [CI] 82~100),特異度は 100%(95% CI 90~100)であることが示された.これに対して,同じ患者グループの脳脊髄液検体の検査は,感度 77%(95% CI 57~89),特異度 100%(95% CI 90~100)であった.鼻腔擦過標本は,脳脊髄液よりも強力かつ迅速な RT-QuIC 反応を引き起こした(反応強度の群間比較において P<0.001).それぞれの擦過標本に約 105~107 個のプリオンシードが含まれ,その濃度は脳脊髄液よりも数桁高かった.

結 論

この予備的研究では,鼻腔擦過法にて採取した嗅上皮検体の RT-QuIC 検査により,クロイツフェルト–ヤコブ病が精確に診断され,鼻腔天蓋内側にかなりのプリオンシーディング活性が示された.(米国国立アレルギー感染症研究所の内部研究プログラムほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 519 - 29. )