August 21, 2014 Vol. 371 No. 8
多剤耐性結核とベダキリンによる培養陰性化
Multidrug-Resistant Tuberculosis and Culture Conversion with Bedaquiline
A.H. Diacon and Others
結核菌の ATP 合成酵素を阻害するジアリルキノリンであるベダキリン(bedaquiline)(Sirturo,TMC207)は,多剤耐性結核患者に対して推奨されている基本レジメンに 8 週間併用した場合,喀痰培養陰性化までの期間の短縮と関連することが示されている.
第 2b 相試験において,多剤耐性結核と新たに診断された塗抹陽性患者 160 例を,ベダキリン 400 mg を 1 日 1 回 2 週間投与した後,200 mg を週 3 回 22 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.いずれも推奨されている基本レジメンに併用した.主要有効性評価項目は,液体培地における喀痰培養陰性化までの期間とした.追跡期間はベースラインから 120 週間とした.
ベダキリンにより,培養陰性化までの期間の中央値は,プラセボの 125 日と比較して 83 日と短縮され(ベダキリン群のハザード比 2.44,95%信頼区間 1.57~3.80,Cox 回帰分析による P<0.001),24 週時点での培養陰性化率(79% 対 58%,P=0.008)も,120 週時点での培養陰性化率(62% 対 44%,P=0.04)もプラセボを上回った.世界保健機関の多剤耐性結核の転帰の定義に基づくと,120 週時点での治癒率はベダキリン群 58%,プラセボ群 32%であった(P=0.003).全体的な有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.死亡はベダキリン群で 10 例,プラセボ群で 2 例あったが,明らかな因果パターンは認められなかった.
24 週間の推奨されている基本レジメンにベダキリンを追加することによって,培養陰性化が早まり,120 週時点の培養陰性化率がプラセボ群と比較して有意に上昇した.死亡例はベダキリン群のほうがプラセボ群よりも多かった.(Janssen Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.TMC207-C208 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00449644)