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January 8, 2015 Vol. 372 No. 2

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リンパ節転移陰性 HER2 陽性乳癌に対するパクリタキセルとトラスツズマブを用いた補助療法
Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab for Node-Negative, HER2-Positive Breast Cancer

S.M. Tolaney and Others

背景

リンパ節転移陰性ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陽性乳癌で腫瘍径が小さい患者の大半は,トラスツズマブ補助療法の主要な臨床試験で不適格とされてきたため,標準治療というものが存在しない.

方 法

腫瘍最大径 3 cm 以下の患者 406 例を対象に,パクリタキセルとトラスツズマブを用いた補助療法に関する対照群を設定しない単群の多施設共同研究者主導試験を行った.患者に,パクリタキセルとトラスツズマブの投与を週 1 回,12 週間行った後,トラスツズマブ単剤投与を 9 ヵ月間行った.主要評価項目は,浸潤癌がない状態での生存とした.

結 果

追跡期間中央値は 4.0 年であった.浸潤癌がない状態での 3 年生存率は 98.7%であった(95%信頼区間 [CI] 97.6~99.8).再発が認められた 12 例のうち,2 例は遠隔転移であった.疾患特異的イベントは,HER2 陰性対側乳癌と乳癌以外の癌を除くと,7 件認められた.13 例(3.2%,95% CI 1.7~5.4)でグレード 3 のニューロパチーが 1 件以上報告された.2 例(0.5%,95% CI 0.1~1.8)で症候性うっ血性心不全が認められたが,2 例ともトラスツズマブ投与を中止すると左室駆出率は正常化した.試験で規定した,臨床的に重要な無症候性の駆出率低下が 13 例(3.2%,95% CI 1.7~5.4)に認められたが,このうち 11 例は,短期間中断した後,トラスツズマブ療法を再開することができた.

結 論

主に I 期の HER2 陽性乳癌の女性患者集団において,パクリタキセルとトラスツズマブを用いた補助療法は,約 2%の早期再発リスクと関連していた.患者の 6%はプロトコールに規定した有害事象が認められたため試験から脱落した.(Genentech 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00542451)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 134 - 41. )