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April 9, 2015 Vol. 372 No. 15

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プライマリ PCI におけるルーチンの用手的血栓除去術の併用に関する無作為化試験
Randomized Trial of Primary PCI with or without Routine Manual Thrombectomy

S.S. Jolly and Others

背景

初回経皮的冠動脈インターベンション(プライマリ PCI)時に用手的血栓除去術を行うことで,血栓が遠位に流れる可能性が減少し,微小血管灌流が改善する可能性がある.複数の小規模試験では,血栓除去術により代理転帰および臨床転帰が改善することが示唆されているが,1 件のより大規模な試験では相反する結果が報告されている.

方 法

プライマリ PCI を受ける ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者 10,732 例を,ルーチンに用手的血栓除去術を行ってから PCI を施行する戦略と,PCI を単独で施行する戦略に無作為に割り付けた.主要転帰は,180 日以内の心血管系の原因による死亡,心筋梗塞の再発,心原性ショック,ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類 IV 度の心不全の複合とした.安全性の主要転帰は 30 日以内の脳卒中とした.

結 果

主要転帰は,血栓除去術群では 5,033 例中 347 例(6.9%)に発生したのに対し,PCI 単独群では 5,030 例中 351 例(7.0%)に発生した(血栓除去術群のハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.85~1.15,P=0.86).心血管死亡率は 2 群で同程度であり(血栓除去術群 3.1% 対 PCI 単独群 3.5%,ハザード比 0.90,95% CI 0.73~1.12,P=0.34),主要転帰にステント血栓症または標的血管血行再建を加えた発生率も 2 群で同程度であった(9.9% 対 9.8%,ハザード比 1.00,95% CI 0.89~1.14,P=0.95).30 日以内の脳卒中は,血栓除去術群では 33 例(0.7%)に発生したのに対し,PCI 単独群では 16 例(0.3%)に発生した(ハザード比 2.06,95% CI 1.13~3.75,P=0.02).

結 論

プライマリ PCI を受ける STEMI 患者にルーチンに用手的血栓除去術を行っても,PCI を単独で施行した場合と比較して 180 日以内の心血管死亡,心筋梗塞再発,心原性ショック,NYHA 分類 IV 度の心不全のリスクは低下せず,30 日以内の脳卒中の発生率上昇と関連した.(Medtronic 社およびカナダ健康研究所から研究助成を受けた.TOTAL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01149044)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1389 - 98. )