パイオニア説明責任を果たせる医療機関導入 1 年目における成績の差
Performance Differences in Year 1 of Pioneer Accountable Care Organizations
J.M. McWilliams and Others
2012 年,32 の医療機関が「パイオニア説明責任を果たせる医療機関(ACO)プログラム」に参加した.このプログラムでは,医療提供者は支出額が基準を下回った場合,節約分をメディケアと分け合うことができる.パイオニア ACO の特徴に関連する成績の差について,十分な報告はなされていない.
出来高払い方式のメディケア請求に関する difference-in-differences 分析において,パイオニア ACO 契約開始前(2009~11 年)と開始後(2012 年)にパイオニア ACO で治療を受けた受給者(ACO 群)とその他で治療を受けた受給者(対照群)を対象として,地理的地域と受給者の社会人口学的特性および臨床的特性を補正し,メディケア支出を比較した.さらに,病院と医師グループとのあいだに明確な財政的統合がある ACO とない ACO,ベースラインの支出が大きかった ACO と小さかった ACO,2012 年以降パイオニアプログラムから離脱した 13 の ACO と離脱しなかった 19 の ACO のサブグループで支出の変化の差を推定した.
補正後のメディケアの支出および支出の傾向は,契約前の期間では ACO 群と対照群で類似していた.2012 年,ACO 群の補正後の受給者あたりの総支出には,対照群との差が認められ(四半期あたり -29.2 ドル,P=0.007),1.2%の節約に相当した.節約は,ベースラインの支出が地域の平均を上回っていた ACO のほうが平均を下回っていた ACO よりも有意に大きく(相互作用の P=0.05),またベースラインの支出が大きかった地域の ACO のほうが支出が小さかった地域の ACO よりも有意に大きかった(P=0.04).病院と医師グループとの財政的統合がある ACO とない ACO,およびプログラムから離脱した ACO と離脱しなかった ACO における節約は同程度であった.
パイオニア ACO プログラム導入 1 年目では,メディケア支出にわずかな減少が認められた.節約は,ベースラインの支出が大きかった ACO のほうが小さかった ACO よりも大きく,プログラムからの離脱との関連は認められなかった.(米国国立老化研究所ほかから研究助成を受けた.)